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  1. 都道府県ごとの地震活動
  2. 近畿地方の地震活動の特徴
  3. 三重県の地震活動の特徴

三重県の地震活動の特徴

 三重県に被害を及ぼす地震は、主に太平洋側沖合で発生する地震と、陸域の浅いところで発生する地震と、沈み込んだフィリピン海プレート内で発生する地震です。

 三重県とその周辺の主な被害地震(図をクリックすると拡大表示)
三重県とその周辺の主な被害地震  太平洋側沖合では、南海トラフ沿いでM8クラスの巨大地震がほぼ100~200年間隔で繰り返し発生してきました。これらの地震のうち、静岡県から三重県にかけての沿岸部を含む太平洋側沖合で発生した場合には、その震源域が三重県の陸域の一部まで達するため、強い揺れに見舞われることが多くあります。例えば1944年東南海地震では三重県のほぼ全域が震度5から6相当の揺れに見舞われました。加えて、津波を伴う場合が多く、過去には10m以上の津波に襲われたこともあります。さらに、フィリピン海プレート内で発生したM7程度の地震であっても被害が生じます。例えば、2004年の紀伊半島南東沖の地震(M7.4)でも、松阪市や香良洲町(旧名、現在の津市)で震度5弱の揺れを観測し、県内で8名の負傷者が生じました。また、1944年東南海地震の西隣で発生した1946年南海地震(M8.0)のように和歌山県から高知県にかけての沿岸部を含む太平洋側沖合で発生した地震によっても、地震の揺れや津波による被害を受けたことがあります。
 陸域の浅い場所で発生した被害地震としては、1854年の伊賀上野付近の地震(M7 1/4:伊賀上野地震と呼ぶこともあります)が知られています。この地震により、伊賀上野付近で死者600余名、周辺地域を含めると約1,300名の死者を出すなど、被害は伊賀上野から奈良・大和郡山にかけての地域で著しいものとなりました。この地震は木津川断層帯で発生したと考えられています。木津川断層帯は横ずれ成分を伴う逆断層ですが、この地震による横ずれの大きさは分かっていません。この地震には、一ヶ月程前から前震がありました。また、本震の数時間後には最大余震がありましたが、地域によっては、本震とほぼ同じように感じられ、四日市付近ではこの余震の方が強く感じられたようです。
 沈み込んだフィリピン海プレート内で発生した陸域のやや深い地震としては、三重県・奈良県の県境付近で発生した1899年の地震(M7.0、推定の深さ40~50km:紀伊大和地震と呼ぶこともあります)がこのタイプの地震であると考えられています。この地震では、県内で死者7名などの被害が生じました。また、隣の奈良県のやや深いところで発生した1952年の吉野地震(M6.7、深さ61km)も陸域のやや深い地震であり、三重県でも小被害が生じました。
 県外で発生した地震についても、1891年の濃尾地震(M8.0)など周辺地域で発生する地震によっても三重県内で被害が生じたことがあります。さらに、1960年の「チリ地震津波」のような外国の地震によっても津波被害を受けたことがあります。1819年(M7 1/4)の近江の地震でも県北部の川沿いを中心に被害が発生しました。
 県内には、中央構造線より北側に、活断層が分布しています。岐阜・愛知県との県境付近に延びる養老−桑名−四日市断層帯とその延長上の伊勢湾内にある伊勢湾断層帯、滋賀県との県境の東側に鈴鹿東縁断層帯があります。北部には、南北方向に布引山地東縁断層帯頓宮(とんぐう)断層が平行に走っており、それに直交するように京都府南東部から延びる木津川断層帯があります。また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、想定東海地震、東南海地震及び南海地震があります。伊勢湾沿岸部ではやや軟弱な地盤になっており、地震が発生したときには、周辺の地域に比べて揺れが大きくなる可能性があります。
 県内全域が、南海トラフの地震で著しい地震災害が生じるおそれがあり、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。また沿岸部の16市町は「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されています。

  【 三重県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】   【 三重県に被害を及ぼした主な地震 】
  【 確率論的地震動予測地図 】  【 リンク 】

○三重県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震  [上に戻る]

地震 マグニチュード 地震発生確率
(30年以内)

【地震発生確率値の留意点】
海溝型地震
南海トラフ 南海トラフで発生する地震 8~9クラス 70%~80%
内陸の活断層で発生する地震
阿寺断層帯 主部 (北部) 6.9程度 6%~11%
主部 (南部) 7.8程度 ほぼ0%
佐見断層帯 7.2程度 不明
白川断層帯 7.3程度 不明
屏風山・恵那山断層帯
及び猿投山断層帯
屏風山断層帯 6.8程度 0.2%~0.7%
赤河断層帯 7.1程度 不明
恵那山−猿投山北断層帯 7.7程度 ほぼ0%~2%
猿投−高浜断層帯 7.7程度 ほぼ0%
加木屋断層帯 7.4程度 0.1%
濃尾断層帯 温見断層 (北西部) 6.8程度 ほぼ0%
温見断層 (南東部) 7.0程度 不明
主部 (根尾谷断層帯) 7.3程度 ほぼ0%
主部 (梅原断層帯) 7.4程度 ほぼ0%
主部 (三田洞断層帯) 7.0程度 不明
揖斐川断層帯 7.1程度 不明
武儀川断層 7.3程度 不明
柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯 主部(北部) 7.6程度 ほぼ0%
主部(中部) 6.6程度 不明
主部(南部) 7.6程度 不明
浦底−柳ヶ瀬山断層帯 7.2程度 不明
養老−桑名−四日市断層帯 8程度 ほぼ0%~0.8%
鈴鹿東縁断層帯 7.5程度 ほぼ0%~0.07%
鈴鹿西縁断層帯 7.6程度 0.08%~0.2%
頓宮断層 7.3程度 1%以下
布引山地東縁断層帯 西部 7.4程度 ほぼ0%~1%
東部 7.6程度 0.001%
木津川断層帯 7.3程度 ほぼ0%
三方・花折断層帯 三方断層帯 7.2程度 ほぼ0%
花折断層帯 (北部) 7.2程度 不明
花折断層帯 (中南部) 7.3程度 ほぼ0%~0.6%
京都盆地−奈良盆地断層帯南部
(奈良盆地東縁断層帯)
7.4程度 ほぼ0%~5%
有馬−高槻断層帯 M7.5程度
(±0.5)
ほぼ0%~0.04%
生駒断層帯 7.0~7.5程度 ほぼ0%~0.2%
伊勢湾断層帯 主部 (北部) 7.2程度 ほぼ0%
主部 (南部) 6.9程度 ほぼ0%~0.002%
白子−野間断層 7.0程度 0.2%~0.8%
  (算定基準日: 2024年1月1日)


○三重県に被害を及ぼした主な地震  [上に戻る]

西暦(和暦) 地域(名称) 主な被害(括弧は全国での被害)
684年11月29日
(天武13)
土佐その他南海・東海・西海地方 8 1/4 (南海トラフ沿いの巨大地震。諸国で家屋の倒壊、津波あり、死傷者多数。)
887年8月26日
(仁和3)
五畿・七道 8.0~8.5 (南海トラフ沿いの巨大地震。京都で家屋倒壊多く、圧死者多数。沿岸部で津波による溺死者多数。)
1096年12月17日
(永長1)
畿内・東海道 8.0~8.5 東海沖の巨大地震と考えられる。伊勢で津波被害あり。
1099年2月22日
(康和1) 
南海道・畿内 8.0~8.3 (南海沖の巨大地震と考えられる。興福寺、摂津天王寺などで被害。)
1361年8月3日
(正平16)
畿内・土佐・阿波 8 1/4~8.5 (南海トラフ沿いの巨大地震。各地で、強い揺れ、津波により、死者多数。)
1498年9月20日
(明応7)
東海道全般 8.3 南海トラフ沿いの巨大地震。沿岸部で津波被害。伊勢大湊で溺死者5,000人など。
1605年2月3日
(慶長9)
(慶長地震) 7.9 南海トラフ沿いの巨大地震。沿岸部に津波来襲。
1707年10月28日
(宝永4)
(宝永地震) 8.6 南海トラフ沿いの巨大地震。尾鷲付近で、死者1,070人以上、家屋流失1,510棟。その他県内で、死者57人、負傷者73人、家屋全壊2,333棟、同流失601棟。
1854年7月9日
(安政1)
伊賀・伊勢・大和および隣国(伊賀上野地震とも呼ばれる) 7 1/4±1/4 伊賀上野付近で死者約600人、家屋全壊2,000棟余、周辺でも被害あり。
1854年12月23日
(安政1)
(安政東海地震) 8.4 (東海沖の巨大地震。強い揺れ及び津波により、関東から近畿にかけて被害。住家全壊・焼失約30,000棟、死者2,000~3,000人。)
1891年10月28日
(明治24)
(濃尾地震) 8.0 北部を中心に被害。死者1人、負傷者17人、家屋全壊625棟。
1899年3月7日
(明治32)
紀伊半島南東部(紀伊大和地震とも呼ばれる) 7.0 南部を中心に被害。木ノ本・尾鷲で死者7人、負傷者62人、家屋全壊35棟。
1944年12月7日
(昭和19)
(東南海地震) 7.9 強い揺れ及び津波により被害。死者・行方不明者406人、負傷者607人、住家全壊1,826棟、同流失2,238棟。
1946年12月21日
(昭和21)
(南海地震) 8.0 強い揺れ及び津波により被害。死者11人、負傷者35人、住家全壊65棟、同流失23棟。
1952年7月18日
(昭和27)
(吉野地震) 6.7 (死者9人、負傷者136人、住家全壊20棟。) 
1960年5月23日
(昭和35)
(チリ地震津波) 9.5 注) 津波により被害。住家全壊2棟、同流失1棟。
2004年9月5日
(平成16)
紀伊半島南東沖
→【地震本部の評価】
7.4 負傷者8人。
2018年6月18日
(平成30)
大阪府北部
【地震本部の評価】
→平成30年6月18日公表
→平成30年7月10日公表
【リンク集】
6.1 負傷者2人(平成31年2月12日、消防庁調べ)。

注)「チリ地震津波」のマグニチュードはKanamori(1977)によるモーメントマグニチュード(Mw)で、他の地震のマグニチュードと異なります。


○確率論的地震動予測地図  [上に戻る]

確率論的地震動予測地図(三重県)

 「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」(評価基準日:2020年1月1日)
を示した地震動予測地図です。
 詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
 全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。


○リンク  [上に戻る]

 地震動予測地図等

  • 全国地震動予測地図
    「全国地震動予測地図」 のページです。
  • 地震ハザードステーション(J−SHIS)
    防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。
  • 長周期地震動予測地図
    将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。
  • 応答スペクトルに関する地震動ハザード評価
    工学的利活用に向けて、試作版の報告書を公表しています。
  • 長周期地震動予測地図作成等支援事業
    文部科学省では、「新しい総合的かつ基本的な施策」(地震調査研究推進本部,2009)の中で今後推進すべき研究とされた長周期地震動について、平成22年度から研究機関に委託して調査研究を行っています。
  • 屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯(恵那山-猿投山北断層帯)における重点的な調査観測
    文部科学省では、「新たな活断層調査について」(地震調査研究推進本部,2009)の中で、地震後経過率の最大値が1.0を超えていること、断層が通過する市町村の総人口が概ね50万人を超える等、地震が発生した際の社会的影響が大きい断層として選定された屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯(恵那山-猿投山北断層帯)について、研究機関に委託し、令和2年度から重点的な活断層調査を実施しています。
  • 奈良盆地東縁断層帯における重点的な調査観測
    文部科学省では、将来地震が発生した場合に予想される地震の規模が大きく(マグニチュード8程度を目安とする)、地震の発生確率が高い断層として選定された奈良盆地東縁断層帯について、研究機関に委託し、令和元年度から重点的な活断層調査を実施しています。
  • 防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト
    南海トラフでは、マグニチュード8クラスの大地震が発生し、残りの領域においても連動して大地震が発生する可能性が高まる(「半割れ」ケース)などの「異常な現象」が観測される可能性が示されています。文部科学省では、こうした「異常な現象」が起こった後の地震活動の推移を科学的・定量的データを用いて評価するための研究開発や、「異常な現象」が観測された場合の住民・企業等の防災対策のあり方、防災対応を実行するにあたっての仕組みについて調査研究を実施し、これら研究成果の活用を推進するため、令和2年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。
  • 南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト
    文部科学省では、南海トラフから南西諸島海溝域までの震源モデルを構築、地震・津波の被害予測とその対策、発災後の復旧・復興対策を検討し、地域の特性に応じた課題に対する研究成果の活用を推進させるため、平成25年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。
  • 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクト
    東海・東南海・南海地震については、今後30年以内の発生確率が非常に高く、これら3つの地震は将来連動して発生する可能性も高いことから、これら3つの地震の時空間的な連動性を評価するため、海底稠密地震・津波・地殻変動観測や物理モデルの構築、シミュレーション研究、強震動・津波予測、被害想定研究等を総合的に行っています。
  • 内閣府 東海地震対策
    内閣府の東海地震対策のページです。
  • 内閣府 東南海・南海地震対策
    内閣府の東南海・南海地震対策のページです。
  • 内閣府 南海トラフ地震対策
    内閣府の南海トラフ地震対策のページです。
  • 内閣府 中部圏・近畿圏直下地震対策
    内閣府の中部圏・近畿圏直下地震対策のページです。

 長期評価等

 地震活動等

 津波評価等

  • 津波評価
    地震調査委員会では、津波予測の手順を標準化し、「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」を公表しています。また、長期評価の結果と津波レシピをもとに、津波評価を進めています。
    • 津波予測手法
      「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」についてのページです。
    • 南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価
      南海トラフ沿いで発生する大地震を対象に、長期評価の結果と津波予測の手順をもとに、公表時から30年以内に長期評価で想定される大地震が発生し、海岸の津波高がある高さ以上になる確率を評価した報告書です。

 地方自治体等

  • 津地方気象台
    津地方気象台のページです。三重県の気象・地震概況等を閲覧することができます。
  • 三重県
    三重県の「防災・防犯」のページです。


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