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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の推進について」を建議

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)11月号)

タイトル「災害の~建議」の画像データ

− 平成25年11月8日 科学技術・学術審議会を開催 −

 科学技術・学術審議会(会長:野依良治(独)理化学研究所理事長)は、平成25年11月8日に総会を開催し、平成26年度から5か年を見据えた「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の推進について」を取りまとめ、文部科学省設置法に基づき、文部科学大臣をはじめとする関係大臣へ建議しました。以下では、その概要について説明します。

櫻田文部科学副大臣に建議を手交する野依会長

櫻田文部科学副大臣(右)に建議を手交する野依会長(左)  文教ニュース社提供

小見出し「背景」の画像データ

 地震予知研究は昭和40年、火山噴火予知研究は昭和49年から、当時の文部省測地学審議会(現在の科学技術・学術審議会)が策定した研究計画に沿って、全国の大学や関係機関が協力・連携して推進してきました。
 平成21年度から平成25年度にかけては、地震予知と火山噴火予知の研究計画を統合した「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」(現行計画)に沿って推進されていますが、平成23年3月11日にマグニチュード9に達する東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生したため、超巨大地震に関する研究を追加するなど計画の見直しを行っています。
 平成26年度からの5か年間の研究計画に関しては、現行計画の総括的自己点検評価、外部評価や文部科学大臣に建議された「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」(科学技術・学術審議会)などに基づき、超巨大地震に関する研究をさらに追求するとともに、「社会のための、社会の中の科学技術」という観点に立って審議を進め、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の推進について」を取りまとめました。

小見出し「計画の基本方針」の画像データ

 これまでは、防災・減災に貢献するために、地震や火山噴火の発生予測を目指すという考え方で計画を推進してきました。これからの新しい計画は、国民の生命と暮らしを守るための災害科学の一部として地震・火山の観測研究を推進するべきであると考えて計画を策定しています。地震や火山に関する災害科学とは、災害を引き起こす地震や火山噴火の発生から災害の発生や推移を総合的に理解し、その知見を防災・減災に生かすための科学です。
 地震や火山噴火による災害は、地震や火山噴火によって生じる地震動や津波、降灰、溶岩流などの災害誘因が、人の住む自然環境や社会環境に作用し、その脆弱(ぜいじゃく)性により発生します。つまり、これまでの地震や火山噴火の発生予測をして防災・減災に貢献するという考えにとどまらず、災害の直接の原因となる強震動や津波、火山灰や溶岩の流出などの災害誘因も予測し、災害の発生や推移までを視野に入れた、地震・火山災害の軽減に貢献するための学術研究計画となっています。
 また、発生すると甚大な災害となる低頻度・大規模な地震・火山現象に関しても史料、考古データ、地形・地質データを取り入れて研究を進めます。  このような研究を推進するために、災害や防災に関係する理学、工学、人文・社会科学などの分野の研究者が連携するとともに国際共同研究も強化し、総合的かつ学際的な研究として推進していきます。

「建議の概要」の画像データ
「実施内容」の画像データ

 計画の基本方針に従い、以下の4項目に分けて計画を推進します。
1.「地震・火山現象の解明のための研究」
 地震・火山噴火予測や地震・火山災害を予(あらかじ)め知ってそれに備えられるようにするための基礎として、地震や火山噴火の特性を解明し、地震や火山噴火が発生する場や地震・火山噴火現象の物理・化学過程を解明します。
2.「地震・火山噴火の予測のための研究」
 多様なデータや考え方を取り入れ、地震や火山噴火の発生を予測する手法を開発します。物理・化学的過程に基づく演繹(えき)的手法や先行現象の観測事例に基づく帰納的手法を用いて、予測を目指します。
3.「地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究」
 地震や火山噴火がどのように災害をもたらすかに照準を合わせて、地震・火山研究の成果を災害軽減に役立てます。地震学・火山学的な手法により災害を予測する研究を推進するとともに、これを災害軽減に結び付けるための研究を行います。
4.「研究を推進するための体制の整備」
 関連する機関、関連する研究分野と連携を取りながら、計画の進捗状況を把握して研究を効果的に推進する体制を構築し、観測網やデータベースなどの研究基盤を整備・拡充します。研究者、技術者などの育成、国際共同研究、本計画の現状を知ってもらうための取組を組織的に行います。

 本計画の実施に当たり、優先度の高い地震・火山噴火については、特にこれらの項目を横断した実施計画を立てて推進する必要があります。例えば、東北地方太平洋沖地震、南海トラフの巨大地震、首都直下地震、桜島火山噴火については、本計画実施期間に災害科学の発展に着実に貢献できることや、発生した場合の社会への影響の甚大さを考慮して、上記1.~4.の全ての項目を含む総合的な研究として優先して推進します。

詳しい内容については、下記をご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu6/toushin/1341559.htm

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)11月号)

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