ここでは、本プロジェクトについて5回のシリーズで紹介します。
首都圏においては、広域の液状化、多数の帰宅困難者、交通機関の麻痺、事業活動の停止、電力やライフラインの途絶、等々、都市特有の多くの課題が顕在化し、今後の大地震に対する備えの重要性が改めて認識されました。
多くの機能が集中・高度化し、社会経済活動の中枢であり、我が国の頭脳となっている首都圏は、災害に対する脆弱性を内在しており、予期せぬ大災害へ拡大するおそれのあることも否めません。また、東北地方太平洋沖地震以降、南関東全体の地震活動は活発な状態になり、余震活動や誘発される地震等について警戒が必要な状況が続いています。
このような中、首都圏をはじめとする都市の大地震に対する事前の検証と対策を施しておくことは、これまでにも増して重要かつ喫緊の課題となっています。
そこで、東日本大震災を教訓として、今後予想される首都直下地震や、東海・東南海・南海地震等に対して、都市の災害を可能な限り軽減することを目的に、新たな5カ年間の研究開発プロジェクトとして、「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」を実施することとしました。
各サブプロジェクトの委託先の下で複数の大学・独立行政法人・企業の研究機関が参加しています。また、プロジェクト全体を管理するために、統括委員会を設けています。
首都圏地震観測網(MeSO-net)による地震観測を継続し、首都圏のより正確な地下構造、地震動(揺れ)、地震像(場所、規模、頻度)の解明を進めるとともに、都市の地震災害の姿を予測するための地震被害評価技術の開発を進めています。
2012年11月24日に千葉県西部の深さ約72kmで発生したM4.8の地震(赤星印)の
ときにMeSO-netで観測された波形で計算した計測震度相当値。
(東京大学地震研究所 提供)
地震被害評価における先端可視化技術のイメージ図
(東京工業大学都市地震工学センター 提供)
鉄骨造の崩壊余裕度振動台実験による崩壊
(倒壊して防護フレームに寄りかかっている。)
(京都大学防災研究所 提供)
建物の健全度評価のためのモニタリングシステム
(京都大学防災研究所 提供)
都市地震防災ジオポータルのトップページ
(京都大学防災研究所 提供)
新宿駅西口地域の訓練 防災センターによる被災状況把握
(工学院大学 提供)
サブプロジェクト相互の協力・連携を図り、研究成果の社会還元の推進に努めます。例えば、サブプロジェクト1で開発する都市の地震被害評価技術は、サブプロジェクト2と連携し、地盤−基礎−建物系の地震動計測データの収集・蓄積を行い、個別建物シミュレーションの高度化を図るとともに、サブプロジェクト3に成果を渡し、災害対策能力の向上方策に役立てます。