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  3. 2019年の主な地震活動の評価

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)冬号)

2019年の主な地震活動の評価 ─ 地震調査委員会 ─

地震調査研究推進本部地震調査委員会では、毎月の定例会や被害を伴う地震などが発生した際に開催する臨時会において、地震活動を評価しています。2019年の主な地震活動として評価したものは次の通りです。

2019年に日本国内及びその周辺で発生した M 3.0 以上の地震の震央分布
2019年に日本国内及びその周辺で発生した M 3.0 以上の地震の震央分布。地形データは米国国立地球物理データセンターの ETOPO1 を使用している。
図中の番号は、本文中の地震活動の番号を示す。

1)熊本県熊本地方の地震活動 【マグニチュード(M)5.1、最大震度6弱】
【M4.3、最大震度5弱】

 1月3日18時10分に熊本県熊本地方の深さ約10kmでM5.1の地震が発生した。この地震により熊本地方の震央近傍で最大震度6弱を観測した。その後、北西-南東方向に延びる約5㎞の領域で地震活動が減衰しつつも継続している。2月11日までに発生した最大の地震は、1月26日に深さ約10kmで発生した M4.3の地震で、最大震度5弱を観測した。
 1月3日の地震、1月26日の地震ともに、発震機構は南北方向に張力軸を持つ型で、地殻内で発生した地震である。地震の発震機構と地震活動の分布から推定される1月3日の地震の震源断層は北西-南東方向に延びる左横ずれ断層である。
 GNSS観測の結果及び陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の合成開口レーダー干渉解析の画像によると、今回の地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。
 今回の地震の震源域は、九州地方中部において東西に延びる別府―島原地溝帯周辺にあたり、南北方向に張力が働き、発生する地震の多くが正断層型や横ずれ断層型となる特徴が見られる。今回の地震はこのような特徴がある地域で発生したものである。
 今回の地震活動の領域は、平成28年(2016年)熊本地震の一連の地震活動域から北に約20km離れている。1月3日の地震の前後には、平成28年(2016年)熊本地震の一連の地震活動に特段の変化は観測されていない。
<平成31年1月4日地震調査委員会臨時会>
<平成31年1月15日・2月12日地震調査委員会定例会>

2)胆振地方中東部の地震活動 【M5.8、最大震度6弱】

 2月21日に胆振地方中東部の深さ約35kmでM5.8の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ型で、陸のプレート内で発生した地震である。この地震は、2018年9月6日のM6.7の地震後に南北約30kmの領域で継続している平成30年北海道胆振東部地震の活動域内の北部で発生した。GNSS観測の結果及び陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の合成開口レーダー干渉解析の画像によると、今回の地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。
<平成31年2月22日地震調査委員会臨時会>
<平成31年3月11日地震調査委員会定例会>

3)日向灘の地震活動 【M6.3、最大震度5弱】

 5月10日07時43分に日向灘の深さ約25kmでM5.6の地震が発生し、また、同日08時48分にほぼ同じ場所でM6.3の地震が発生した。これらの地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。GNSS観測によると、これらの地震に伴い、宮崎市の佐土原(さどわら)観測点で南東方向に約1cm移動するなどの地殻変動が観測された。
<令和元年6月11日地震調査委員会定例会>

4)千葉県北東部の地震活動 【M5.1、最大震度5弱】

 5月25日に千葉県北東部*の深さ約40kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。この地震の震源付近では、6月1日にもM4.7の地震が発生している。
*:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「千葉県南部」である。
<令和元年6月11日地震調査委員会定例会>

5)山形県沖の地震活動 【M6.7、最大震度6強、津波を観測】

 6月18日22時22分に山形県沖の深さ約15kmでM6.7の地震が発生した。この地震により新潟県下越地方で最大震度6強を観測し、被害を伴った。
 この地震により、山形県鶴岡市の鼠ヶ関(ねずがせき、国土地理院)で11cmなど、秋田県・山形県・新潟県・石川県の沿岸で津波を観測した。
 GNSS観測の結果では、地震に伴って、新潟県村上市の新潟山北(にいがたさんぽく)観測点が北西に約5cm移動するなどの地殻変動が観測された。また、陸域観測技術衛星「だいち2号」の合成開口レーダー干渉解析の画像によると、震央に近い陸域で地殻変動が観測された。
 M6.7の地震の発生後、北東-南西方向に長さ約20kmの領域で、地震活動がこれまでのところ本震-余震型で推移している。7月9日17時までに発生した最大規模の余震は、6月19日00時57分に発生した M4.2の地震で、最大震度4を観測した。
 この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。今回の地震の余震分布と本震の発震機構に基づくと、震源断層は東南東方向に傾斜する断層面であったと推定される。
 北海道沖から新潟県沖にかけての日本海東縁部では、これまで大地震がたびたび発生している。地質学的にみても、東西に幅を持った南北方向に延びる帯状の活断層・活しゅう曲帯が何条か形成されている。今回の地震活動は、この領域内で1964年に発生した新潟地震の震源域に隣接した場所で発生している。
<令和元年6月19日地震調査委員会臨時会>
<令和元年7月9日地震調査委員会定例会>

6)福島県沖の地震活動 【M6.4、最大震度5弱】

 8月4日に福島県沖の深さ約45kmでM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
<令和元年9月10日地震調査委員会定例会>

7)青森県東方沖の地震活動 【M5.5、最大震度5弱】

 12月19日に青森県東方沖の深さ約50kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東-南南西方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
<令和2年1月15日地震調査委員会定例会>


注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。
K-NET とは、国立研究開発法人防災科学技術研究所が整備した強震観測網である。

最新の評価結果は、ホームページ https://www.jishin.go.jpをご覧ください。

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)冬号)

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