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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 高耐震鉄筋コンクリート造建物の耐震性能と普及型高耐震技術に関する実験

高耐震鉄筋コンクリート造建物の耐震性能と普及型高耐震技術に関する実験

1.はじめに

 防災科学技術研究所(以下、「防災科研」という)では、中層集合住宅をモデル化した10階建て鉄筋コンクリート造建物試験体を用い、大地震後でも継続使用可能な高性能建物の技術開発を目指した世界最大規模の震動台実験を、2018年12月から2019年1月にかけて実施しました。

2.実験概要

使用した10階建て鉄筋コンクリート造建物試験体(平面形状:12m×8m、高さ:27.45m、建物試験体重量:約930t)(図1)は、長辺方向は柱・梁のみの純フレーム構造、短辺方向は1〜7階に連層耐震壁を持つフレーム構造で構成されています。震動台実験に用いられる試験体としては、世界最大規模の高さです。
 防災科研では、地震発生後の継続使用を可能とする普及型高耐震技術として、建物の基礎底に鋳鉄支承(鋳鉄製の鉄板)を配した基礎すべり構法(図2)を開発しています。本実験では、鋳鉄支承を建物基部に8カ所配置した基礎すべり構法による実験を実施しました。また比較のため、同じ試験体を用いて基礎固定とした実験も加えて実施し、耐震性能を確認する震動台実験を行いました。尚、2015年度に実施された、現行設計による同規模試験体を用いた基礎固定時加振では、建物の倒壊は免れましたが、補修困難な柱梁接合部の損傷が先に発生し、想定した崩壊系にはなりませんでした。そこで今回は、柱梁接合部の損傷を避けるため、柱の耐力を梁の1.4倍程度、接合部周辺のせん断補強筋比を0.1%程度以上になるような高耐震鉄筋コンクリート造建物として試験体を設計しました。


図1 10階建て鉄筋コンクリート造建物試験体

図1 10 階建て鉄筋コンクリート造建物試験体


図2 基礎すべり構法

図2 基礎すべり構法



図3 7階柱梁接合部周辺の配筋

図3 7 階柱梁接合部周辺の配筋

3.実験結果

1)基礎すべり構法
 大地震規模となるJMA神戸波(兵庫県南部地震 神戸海洋気象台観測波)50%加振からは、建物が浮き上がりを伴い滑ることで、建物の損傷発生が軽減されました。JMA神戸波100%加振時の最大層間変形角は、フレーム構造方向で約0.017radであり、単純な比較はできないものの、基礎固定時の実験と比較すると2/3程度に低減されました。

2)高耐震鉄筋コンクリート造建物
 基礎滑り構法の実験で大地震(JMA神戸波100%加振)を経験した試験体を震動台へ固定した状態で耐震性能を調べる実験を実施しました。JMA神戸波100%加振で試験体に生じた損傷は、2015年度実験時より少なく、今回採用した高耐震設計の効果を示す結果となりました。建物損傷度の目安とされる最大層間変形角は、フレーム構造方向で約0.026radでした。また、使用した試験体を用いてJMA神戸波100%加振をさらに3回行いましたが、致命的な損傷は発生せず、今回提案した詳細設計の採用により、本実験で入力した規模の大地震を受けても、容易に補修、継続使用できる建物を建設できると考えています。
 今後は、取得したデータを分析し、基礎すべり構法と高耐震鉄筋コンクリート造の普及に繋げるための資料を作成していく予定です。

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