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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト 2

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)

地震調査研究プロジェクト 首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト ―防災科学技術研究所―

 防災科学技術研究所(以下、「防災科研」)では文部科学省の補助事業として「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」(以下、「本PJ」)を2017年度より5か年計画で進めています。本PJでは「企業も強くなる 首都圏も強くなる」を合い言葉に、「データ利活用協議会」(以下、「デ活」)を発足させ、研究から生まれた知見に基づき、産官学民が保有するデータを共有・活用することで、それぞれの組織の防災力を向上させることを目標にしています。(参照:地震本部ニュース2019年夏号記事)

1.  デ活シンポジウム

 デ活では、知見と情報を共有するために、年4回の公開シンポジウムを実施しています。初年度は本PJ全体の活動計画や先進的試みの紹介を、2年度目は社会科学・理学・工学の各分野からの最新の研究成果を紹介すると共に、デ活参加組織を中心として、企業・団体の独自の研究や防災の取組と、本PJの研究課題との関わりについて報告しました。そして、今年度は本PJと企業・団体が連携して取り組むテーマ別分科会活動の内容を紹介しています。

2.  令和元年度第2回シンポジウム

 2019年9月24日に実施された第2回シンポジウム「企業も強くなる 首都圏も強くなる ~住民や従業員・職員の安全力を高める~」について報告します。
 第1部『基調講演』では、日本防災産業会議と東京都から話題提供がありました。日本防災産業会議からは、データ利活用の先進事例として、会員企業間で発災前から情報を共有しておき、発災後は準リアルタイムでサプライヤーも含めたリスク情報を一画面にまとめ、企業の事業継続に役立てるITシステムが紹介されました。東京都からは、災害時における都民の迅速な生活再建実現の取組として、区市町村において協議会を設立し、生活再建支援業務における業務手順の標準化、研修・訓練を行っている様子が紹介されました。
 第2部の『デ活分科会の取り組み紹介』では、2つの分科会に焦点をあてました。「生活再建分科会」からは、一人の取り残しのない生活再建を進める山形県沖地震の被災地・村上市での実例について、「建物付帯設備分科会」からは、防災科研の「実大三次元震動破壊実験施設」(以下、「E-ディフェンス」)との協働によるビッグデータ解析内容について報告がありました。第3部のパネルディスカッションでは、下村健一氏をモデレーターに招き、プロジェクト総括・平田直(防災科研首都圏レジリエンス研究センター長/東京大学地震研究所 教授)が、登壇者と「住民や従業員・職員の安全力を高める」をテーマに議論を繰り広げました。

http://forr.cc.niigata-u.ac.jp/duc/にて公開中

3.  建物付帯設備分科会の取り組み~感震ブレーカーの普及率アップと収集するセンサー情報の利活用~

本分科会は、各種センサーを内蔵した建物付帯設備の普及による建物被害軽減を目指し、それらのセンサー情報の利活用に関する学術的・技術的・社会的なメリットや課題を協議するものです。日東工業㈱をはじめ、複数の企業から専門家が参画しています。そして、「感震ブレーカー」を中心に、建物内の各種センサー情報を活用した構造ヘルスモニタリング技術の向上や、平常時も活用できる付加機能が付いたセンサーの開発・普及に関する活動をしています。例えば、本PJが推進する工学分野の研究開発では、E-ディフェンスを用いて各種センサーの性能検証を行っており、本分科会ではその結果に基づく建物付帯設備の改善を協議しています。今後は、スマートフォン地震計など、感震ブレーカー以外の簡易振動センサーと関連させた平常時からの地震動観測の可視化や、MeSO-netなど基盤的な観測網のデータ等と統合した建物損傷程度の推定や継続利用の可否判断などの解析を進める予定です。

災害情報・地震データ・高機能感心ブレーカー

4.  生活再建分科会の取り組み~住民や従業員・職員の安全安心な生活再建実現のための技術とツールの開発・実装~

 本分科会は、被災者の生活再建支援業務における住家被害認定調査から罹災証明書発行までにかかる時間の最短化により、被災者の負担軽減と行政職員のコスト削減に取り組んでいます。被災者の生活再建の質の向上を目指し、地理空間情報共有サービスを担うESRIジャパン(株)の他、複数の自治体や専門家が参画しています。
 本分科会では、研究プロジェクトにおいて推進している「早期被害把握技術の開発」「業務標準化による行政の事業継続力の向上」の研究成果を活用し、分科会において検討を重ね、実際の災害対応において実装しています。山形県沖の地震(2019年6月発生)では、「多発した屋根被害の被害把握」という課題に対し、新たにドローン映像を用いた被害把握技術を実装しました。また、新潟県村上市において、対象644居宅を6/23調査開始、6/26から罹災証明書発行と、生活再建支援業務の迅速化に貢献しています。(参考:他自治体では対象300居宅を6/26調査開始、7/3から罹災証明書発行)

令和元年度「デ活」シンポジウム開催予定 今後の連載(全4回)では、公開シンポジウムの結果も簡単にご紹介していきます。 第1回イベント(済)日時:令和元年7/19(金)14時~17時 会場:都道府県会館 101大会議室 第2回イベント(済)日時:令和元年9/24(火)14時~17時 会場:都道府県会館 第3回イベント日時:令和元年12/16(月)14時~17時 会場:都道府県会館 第4回イベント 日時:令和2年2/28(金)13時30分~17時30分 会場:予定:伊藤謝恩ホール(東京大学)

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)

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