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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 活断層の地域評価について

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)

地震本部 活断層の地域評価について

1)「地域評価」導入の経緯

 活断層は過去に繰り返し活動し、将来、大きな被害をもたらす地震を発生させる可能性があることから、活断層により発生する地震の規模(マグニチュード)や揺れの強さ(震度)、発生確率を把握することは防災・減災対策上極めて重要です。地震調査研究推進本部(以下、「地震本部」という)では、日本列島に数千存在するといわれる活断層の中から114の「主要活断層帯」を指定しています。主要活断層帯は長さが20km以上ある活断層帯(単独の活断層も含む)で、社会的・経済的に大きな影響をおよぼすと考えられるマグニチュード(M)7以上の地震を発生させる可能性があります。平成7年以降、地震本部ではさまざまな調査研究の結果に基づいて、主要活断層帯の長期評価(地震の長期的な発生の予測)を網羅的に実施し、将来発生する地震の規模やその発生確率などを公表してきました。
 主要活断層帯の長期評価は、平成17年に全ての断層帯(当時は98断層帯)の評価が一通り終了しました。評価の過程において多くの問題が顕在化したことから、長期評価の精度・信頼度を向上させるための評価手法の改良が検討され、平成22年には「活断層の長期評価手法(暫定版)」報告書がまとめられました。この報告の中では、評価手法の改良だけでなく、新たな評価の基本的な考え方も示されました。それが、地震本部が現在実施している「活断層の地域評価」です。
 評価の新たな考え方が導入された背景には、当時発生した地震とその被害の関係があります。例えば、平成16年(2004年)新潟県中越地震(M6.8)などM7未満の地震によって被害が生じたことや、2005年福岡県西方沖の地震(M7.0)や平成19年(2007年)能登半島地震(M6.9)のように沿岸海域の活断層による被害地震が発生したことです。さらに、平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(M7.2)をはじめ、当時の被害地震のほとんどが主要活断層帯以外で発生していました。そのため、ある地域で発生する浅い地震による危険度がどの程度かを検討するためには、主要活断層帯を評価するだけでなく、地域内にある短い活断層注)等も含めて総合的に評価する必要があると考えたのです。
 活断層の地域評価では、従来の陸域の主要活断層帯に加え、M7未満(M6.8以上)の地震を引き起こす可能性がある活断層や、沿岸海域の活断層も評価の対象に含めています。また、地域の地震危険度を正しく把握するため、個々の主要活断層帯を評価するこれまでの手法だけでなく、地域内に存在する複数の活断層の特性から、将来その地域で起こりうる大地震の規模や発生確率等を評価しています。さらに、評価に際しては、地域ごとの広域のテクトニクスや地殻変動、地震活動の特徴も考慮しています(図1、表1)。

表1 従来の活断層の長期評価と地域評価の比較の表

表1 従来の活断層の長期評価と地域評価の比較

断層ごとの評価と地域評価

図1 断層ごとの評価と地域評価のイメージ(「活断層の長期評価手法(暫定版)」報告書を編集)

2)公表済みの地域評価

 地震本部ではこれまでに、九州地域(平成25年2月)、関東地域(平成27年4月)、中国地域(平成28年7月)、四国地域(平成29年12月)の4地域で活断層の地域評価を公表しています(図2~図5)。対象とする活断層の条件が拡大されたため、地域評価では評価対象活断層の数が大幅に増加しました。具体的には、九州地域では9断層から28断層、関東地域では15断層から24断層、中国地域では6断層から24断層、四国地域では2断層から5断層へ増加しました。また、調査研究が進展し活動履歴が更新された断層帯は、活動区間の見直しも行われています。例えば、奈良県から四国地方を横断して大分県に至る中央構造線断層帯は従来6つの区間に分けられていましたが、10の区間に再編されています。さらに、中国地域では、沿岸海域での調査が進んだことを反映して、従来は異なる断層帯と評価されていたものが一体として再評価された岩国-五日市断層帯や、従来は一つの断層帯(安芸灘断層帯)と評価されていたものが二つ(安芸灘断層帯と広島湾-岩国沖断層帯)に区分された例もあります。
 現在、地震本部では近畿地域の活断層を対象に、活断層分科会、長期評価部会、地震調査委員会において審議を進めています。地域評価では最新の研究成果も速やかに反映していきたいと考えています。

図2 九州地域の活断層の長期評価結果
図2 九州地域の活断層の長期評価結果
(平成25年2月公表、「九州地域の活断層の長期評価(第一版)の概要」より)
図3 関東地域の活断層の長期評価結果
図3 関東地域の活断層の長期評価結果
(平成27年4月公表、「関東地域の活断層の長期評価(第一版)の概要」より)
図4 中国地域の活断層の長期評価結果
図4 中国地域の活断層の長期評価結果
(平成28年7月公表、「中国地域の活断層の長期評価(第一版)の概要」より)
図5 四国地域の活断層の長期評価結果
図5 四国地域の活断層の長期評価結果
(平成29年12月公表、「四国地域の活断層の長期評価(第一版)の概要」より)


※注:短い活断層は、「活断層の長期評価手法(暫定版)」報告書では、『「起震断層」のうち、地表の断層の長さが当該地域における地震発生層の厚さに満たない「起震断層」を、地下の断層の長さに比べて地表の断層の長さが短い』ものとしていますが、M6.8以上の地震を引き起こす可能性がある活断層(おおむね長さ15km程度)を地域評価の対象としています。

(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)

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