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  3. 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以降の地震活動を評価

(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)3月号)

 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(以下、東北地方太平洋沖地震、モーメントマグニチュードMw9.0)の発生から3年が経ちました。地震調査研究推進本部地震調査委員会では、これまで東北地方太平洋沖地震以降の余震活動等について継続的に評価を行ってまいりましたが、3年の節目となる3月11日に開催された第261回定例会において、昨年に引き続き、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以降の地震活動の評価をとりまとめました。

余震活動の状況

 東北地方太平洋沖地震の余震は、岩手県沖から千葉県東方沖にかけての領域におよぶ広い範囲(以下、余震域)で発生しました。余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月~2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月~2014年2月)では10分の1以下にまで減少してきているものの、東北地方太平洋沖地震前の平均的な地震活動状況と比べると3倍以上と、依然として活発な状況にあります(図1、図2)。この1年間の余震活動を領域に分けてみると、沖合よりも沿岸部で比較的高い活動が見られます。また、東北地方太平洋沖地震以降、活動が活発となった福島県浜通りから茨城県北部にかけての領域では、徐々に低下しつつあるものの、活動は継続しています。

図1 余震域内で発生したマグニチュード(M)4以上の地震のM-T図

余震活動は徐々に低下してきていますが、M7前後の大きな地震や、津波を観測した地震は時折発生しています。

図2 余震域内で発生した地震の月別回数表(M≧4.0)

 東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間では5分の1以下、2年後からの1年間では10分の1以下にまで減少してきていますが、東北地方太平洋沖地震前の地震活動状況と比べて依然として活発な状況にあります。



海外で発生した地震との比較

 海外で発生した事例の一つである、2004年12月に発生したスマトラ北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生しています。

図3-1 世界の海域で発生した主な地震における本震発生前後のM≧5.0の余震回数比較
掲載期間:①~③の本震発生の10年前から2014年3月5日まで 震源要素:米国地質調査所(USGS)による


図3-2スマトラ北部西方沖地震発生以降の震央分布図



地殻変動の状況

 東北地方から関東・中部地方の広い範囲では、余効変動と考えられる地殻変動が引き続き観測されています。
 地殻変動量は、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間で、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であったものから、最近1ヶ月あたりでは水平方向に最大1cm程度、上下方向には1cm 前後と小さくなっています。

図4 東北地方太平洋沖地震から3年間の地殻変動

 東北地方太平洋沖地震により、東北地方の太平洋沿岸では大きな沈降が観測されました。その後は隆起に転じ、現在もわずかながら継続しています。
 上のコンター図は、東北地方太平洋沖地震から3年が経過し、各地点が東北地方太平洋沖地震前よりもどのくらい沈降(または隆起)しているかを示しています。


 余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあると見てとれるものの、依然として東北地方太平洋沖地震前の地震活動より活発な状況にあることや、他の巨大地震における事例から総合的に判断すると、今後も長期間にわたって余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要です。
 なお、東北地方太平洋沖地震以降、東北地方から関東・中部地方にかけての余震域以外で活発化した地震活動は、全体として低下しています。


(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)3月号)

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