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  3. 庄内平野東縁断層帯の長期評価の一部改訂

(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)1月号)



 地震調査研究推進本部地震調査委員会は、「庄内平野東縁断層帯の長期評価の一部改訂」をとりまとめ、平成21年10月19日に公表しました。ここではその概要を紹介します。
 なお、庄内平野東縁断層帯の評価は、平成17年4月13日に公表していますが、その後、最近の調査結果により、活動履歴などに関する新たな知見が得られたことから、これを基に評価の見直しを行い、一部改訂版としてとりまとめました。




 庄内平野東縁断層帯は、山形県飽海(あくみ)郡遊佐(ゆざ)町から酒田市東部、東田川郡庄内町を経て鶴岡市に至る断層帯です。
長さは約38kmで、ほぼ南北方向に延びており、断層の東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層です。本断層帯は、過去の活動時期の違いから、庄内平野東縁断層帯北部と庄内平野東縁断層帯南部に区分されます。
 庄内平野東縁断層帯北部は、飽海郡遊佐町から酒田市東部を経て東田川郡庄内町に至る断層帯です。長さは約24kmで、ほぼ南北方向に延びており、断層の東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層です。
 庄内平野東縁断層帯南部は、酒田市東部から東田川郡庄内町を経て鶴岡市に至る断層帯です。長さは約17kmで、ほぼ南北方向に延びており、断層の東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層です。


 庄内平野東縁断層帯の過去の活動は次のようであった可能性があります。

(1)庄内平野東縁断層帯北部
●最新の活動
 1894年(明治27年)庄内地震
●平均活動間隔
 1千−1千5百年程度もしくはそれ以下
●1回のずれの量
 2m程度(上下成分)

(2)庄内平野東縁断層帯南部
●最新の活動
 約3千年前以後、18世紀(1780年)以前
●平均活動間隔
 約2千5百−4千6百年
●1回のずれの量
 1−2m程度(上下成分)


 庄内平野東縁断層帯は、過去の活動と同様に北部と南部の2つの区間に分かれて活動すると推定されますが、断層帯全体が1つの区間として同時に活動する可能性もあります。
(1)庄内平野東縁断層帯北部
 全体が1つの区間として活動する場合、マグニチュード(M)7.1程度の地震が発生すると推定されます。その際、断層の近傍の地表面では、断層の東側が西側に対して相対的に2m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。庄内平野東縁断層帯北部の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。
(2)庄内平野東縁断層帯南部
 全体が1つの区間として活動する場合、M6.9程度の地震が発生すると推定されます。その際、断層の近傍の地表面では、断層の東側が西側に対して相対的に1−2m程度高まる段差や撓みが生じる可能性があります。庄内平野東縁断層帯南部の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。本評価で得られた地震発生の長期確率には幅がありますが、その最大値をとると、本断層帯南部は、今後30年間に地震が発生する確率が我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになります。

 庄内平野東縁断層帯全体が同時に活動する場合には、M7.5程度の地震が発生すると推定されます。庄内平野東縁断層帯全体が同時に活動する場合の確率は、北部が単独で活動する場合の確率を超えないものと考えられます。




 この度公表した本断層帯の長期評価は、将来発生する地震の規模や可能性について述べています。この評価への理解を深めると共に、地震に対するイメージを持って頂くことを目的に、想定されている地震が発生した場合、どの程度の揺れに見舞われる可能性があるのかについて、計算を行いました。長期評価結果と併せて、防災対策の一助として頂ければ幸いです。
 なお、個別地域の被害想定や防災対策の検討を行う場合は、より詳細な地震動評価を別途行う必要があります。

[解 説]
 右の図は長期評価のような地震が発生した場合に予測される震度分布を示しています。(庄内平野東縁断層帯北部は長さ約24kmの東傾斜の逆断層ですが、今後30年以内の地震の発生確率はほぼ0%となります。)
 庄内平野東縁断層帯南部が活動した場合、山形県東田川郡庄内町や鶴岡市・酒田市の一部に震度6強(薄赤色)の大変強い揺れが予測されています。庄内平野から出羽丘陵西部にかけての範囲は震度6弱(橙色)の強い揺れとなり、さらに庄内平野から新庄盆地西部にかけての範囲や秋田県にかほ市の一部は震度5強(黄色)の揺れに見舞われます。震度5弱(黄緑色)の揺れは、新庄盆地をはじめ、山形盆地や秋田県由利本荘市・にかほ市の一部にまで及んでいます。
 なお、実際の揺れは、予測されたものよりも1〜2ランク程度大きくなる場合があります。特に活断層の近傍などの震度6弱の場所においても、震度6強以上の揺れになることがあります。

(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)1月号)

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