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  3. 東海地震の予知シナリオはここ十年で大きく変わった
東海地震の予知シナリオは
ここ十年で大きく変わった

 地震防災対策強化地域判定会は30年ほど前の1979年に発足し、東海地震の直前に現れるであろう前兆現象をとらえて予知を試みようとしてきました。そのような現象が地震前に前兆であるかどうかを客観的に判定することは実際には困難です。
このようなこともあって「黒か白かの判定はできない」として1996年に判定会長は辞任しました。
 その後、内閣府中央防災会議は東海地震対策を進めるために、震源域を新たに見直すなどして被害想定を行い、その際に、予知を前提としたケースと前提にしないケースのそれぞれを策定しました。予知そのものの難しさを反映させて静岡県はその考えをすでに導入していましたが、国が予知無し突発のケースを取り上げたととは大転換でした。ちなみに、被害想定による死者は突発発生で9.200人ですが、予知ありの場合は事前の避難行動などにより2.300人に減ります。
 内閣府と気象庁はさらに協議を重ね、2003年には、いつ起きるかを特定できないような前兆とおぼしき現象を予知の対象とせずに、いつ起きるかを特定できる現象のみを予知の対象にすることとし、現在の予知は地震直前に断層面がゆっくりすべり出すプレスリップ(前兆すべり)という直前現象をとらえるものであるとしました。その鍵となるのは、静岡県などに設置されたひずみ計による観測と監視です。この画期的な変更により、25年を経て、東海地震の予知は、漠然と前兆らしき現象を対象にする時代から、判断対象を前兆モデルに基づいたプレスリップに限定する時代になりました。
 これを受けて、2004年に気象庁は東海地震に関連する情報として「観測情報」「注意情報」「予知情報」という3段階情報を初めて導入しました。予知の対象をプレスりップに限定したことにより、警戒宣言前の準備行動につながる注意情報をようやく出せるようになったのです。これらの情報に緊急地震速報という新しい情報が2007年から加わったことは、予知無し突発に対してせめてもの救いです。かくのごとくここ10年で東海地震の予知シナリオが大きく変わったのは最近の科学技術の進歩に負うところが大きいのです。

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