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  1. 委員会資料
  2. 地震調査研究関係予算
  3. 平成10年度地震調査研究関係政府予算

平成10年度の地震調査研究関係予算概算要求について


平成9年8月29日


地震調査研究推進本部地震調査研究推進本部は、地震防災対策特別措置法第7条第2項第2号の規定に基づき、平成10年度の関係行政機関の地震に関する調査研究予算について、当該概算要求の構想を関係行政機関から聴取し、調整を行ったところ、別紙のとおりである。

別紙

平成10年度の地震調査研究関係予算概算要求について
平成9年8月29日
地震調査研究推進本部

目次

1.地震調査研究推進の目的

2.地震調査研究関係予算概算要求の基本方針
(1)地震調査観測の推進
(2)観測結果等の収集、流通及び総合的評価とその国民への広報
(3)基礎・基盤研究の推進
(4)地方公共団体における地震調査研究等の推進
(5)必要な組織、人員の拡充及び人材の育成

3.具体的な施策
(1)地震調査観測の推進
(2)観測結果等の収集、流通及び総合的評価とその国民への広報
(3)基礎・基盤研究の推進
(4)地方公共団体における地震調査研究等の推進
(5)必要な組織、人員の拡充及び人材の育成

別表1.平成10年度地震調査研究関係政府予算概算要求(省庁別)
別表2.平成10年度地震調査研究関係政府予算概算要求(主要項目)

参考資料

政策委員会名簿
予算小委員会の設置について
予算小委員会名簿
平成9年度における政策委員会における審議経過

1.地震調査研究推進の目的

地震調査研究推進本部(以下「推進本部」という。)は、平成10年度地震調査研究関係予算の概算要求に当たり、地震による被害の軽減と地震現象の理解を目指した、地殻活動、地震動及び津波を評価、理解する上で必要な地震調査研究を推進するものとする。

2.地震調査研究関係予算概算要求の基本方針

平成10年度の地震調査研究関係予算については、以下に示される基本方針に基づき、概算要求が行われる必要がある。

(1)地震に関する調査観測の推進

総合的な調査観測計画の中核となる基盤的調査観測等については、推進本部政策委員会が本年6月16日に決定した「地震に関する基盤的調査観測等の計画について」を踏まえることとする。また、従来から全国的に行われている調査観測、地域的に強化して行う調査観測、及び研究的な調査観測については、地震に関する調査研究の推進への貢献、業績を踏まえ整備・維持運営に努めることとする。
「地震に関する基盤的調査観測等の計画について」の決定においては、
〇地震観測
・陸域における高感度地震計による地震観測(微小地震観測)
・陸域における広帯域地震計による地震観測
〇地震動(強震)観測
〇地殻変動観測(GPS連続観測)
〇陸域及び沿岸域における活断層調査
を、基盤的調査観測として、また、
〇ケーブル式海底地震計による地震観測
〇海域における地形・活断層調査を、基盤的調査観測の実施状況を踏まえつつ実施に努める調査観測として、さらに、
〇地殻構造調査
・島弧地殻構造調査
・堆積平野の地下構造調査
・プレート境界付近の地殻構造調査
を、手法の有効性、実施の在り方等について検討する調査として、それぞれ位置づけ推進することとした。また、基盤的調査観測等の推進に当たっては、調査観測を総合的に推進する観点から、基盤的調査観測等と、従来から全国的に行われている調査観測、地域的に強化して行う調査観測、及び研究的な調査観測との連携を図ることとした。
1)地震観測・地震動(強震)観測・津波観測
稠密な高感度地震計による地震観測網を整備し、観測を行う。これにより、内陸地震の震源と発震機構(震源における、地震を引き起こした断層運動の様子)の決定精度を高めるとともに、破壊した断層の把握に資することができる。また、これらの総合的な評価は、プレートや地殻構造の解明、地震活動パターンの把握、地殻構造や地殻応力の変化についての知見の蓄積に資するものと期待される。
広帯域地震計による観測網を整備し、観測を行う。これにより、小地震(マグニチュード3クラス)以上の地震の発震機構や震源過程(断層の破壊の様子)の解明に資することができる。これら調査観測結果の総合的な評価は、震源の複雑さや多様性の系統的な把握、プレートや地殻構造の解明等に資するものと期待される。また、地震の規模と断層の破壊方向を即時に把握して、被害のより大きな地域を特定し、防災活動を有効に展開するための情報を与えることが期待される。さらに、津波地震の検知と解明にも資することができる。
強震計による観測網を整備し、観測を行う。これにより、地震動の強さ、強い地震動の周期及び継続時間と空間分布の把握、震源域の詳細な破壊過程の解明に資することができる。また、表層の構造が地震動に及ぼす影響を明らかにして、強い地震動の予測にも寄与するものと期待される。さらに、強い地震動を即時に把握して、被害の大きな地域を特定し、防災活動を有効に展開するための情報を与えることが期待される。
海底地震計の整備を行い、観測を行う。これにより、海域における地震活動を精度よく把握するだけでなく、沿岸域に発生した地震の震源決定精度の向上等が期待できる。
また、津波計、検潮儀を整備し、観測を行う。これにより、地震時の津波発生規模の評価研究に資することができる。
2)地殻変動等の観測
GPS連続観測網を整備し、観測を行う。これにより、地殻歪の時間的・空間的変化の即時的、定常的かつ広範囲な把握に資することができる。また、地震の発生に至るまでの歪の蓄積についての知見の蓄積が期待される。さらに、地震発生時及びその後の地殻変動についても即時的に捕捉することができるため、地震の発生過程についての基礎的な知見が得られることが期待される。
VLBI(超長基線電波干渉計)観測及びSLR(人工衛星レーザー測距)観測を行う。これにより、基盤的調査観測であるGPS連続観測を補完し、プレート運動等の広域地殻変動を捉える。
また、GPS連続観測と併せて全国の三次元的な地殻変動を面的かつ詳細に捉えるため、高精度三次元測量、高度基準点測量、水準測量、天文測量、重力測量、辺長測量、験潮を行うとともに、よりローカルな地殻変動を捉えるために、歪計、傾斜計、伸縮計等による観測を行う。
その他、地磁気・地電流の観測、地下水等の地球化学・水位変動観測を行う。
3)地殻構造の調査
活断層の位置を調査することは、地震が発生する可能性のある場所を評価する上で有効である。また、活断層の過去の活動時期の調査は、地震が発生する時期を長期的に評価する上で有効である。さらに、活断層の運動にともなう地震の規模は活動した活断層の長さ及び変位量に関係することから、それらを把握することは、地震の規模を評価する上で有効である。このため、活断層調査を行う。
また、人工地震探査等弾性波探査、電磁気探査、重力探査等により、地下深部構造の把握に努め、発生する地震の場所・規模の推定、地震動評価に必要となる地盤構造の把握を目指す。

(2)観測結果等の収集、流通及び総合的評価とその国民への広報

推進本部政策委員会は、「地震に関する基盤的調査観測等の計画について」の中で、調査観測結果の収集、処理、提供等の流通については、データセンター機能を整備して、円滑に実施していくことが望ましいとした。地震に関する調査観測結果等については、地震防災対策特別措置法に基づき、気象庁(地域地震情報センター)における収集を促進するとともに、推進本部において、これら調査観測結果の分析及び総合的な評価を有効に行えるよう、体制の整備を行うことが必要である。さらに、地震による被害の軽減と地震現象の理解に資するためには、国、地方公共団体の地震防災関係機関、一般国民、研究者が、調査観測結果、研究成果等を得ることを可能とする流通体制の整備が不可欠である。
推進本部政策委員会は、本年6月16日に「地震調査研究推進本部における広報の在り方について」を決定した。この中で、推進本部は、「地震との共存」意識の国民への定着を基本目標とし、地震についての基礎知識の普及、長期的な地震発生の可能性の評価についての広報、発生した地震についての情報の迅速な広報を、地震による被害の軽減に資するために効果的に行う必要があるとした。

(3)基礎・基盤研究の推進

地震調査研究の進展に資するため、地殻活動、強い地震動及び津波等についての理論研究、実験研究、シミュレーション等を行うことが重要である。学際的な研究領域については、各専門分野の有機的な連携を図り、多分野の国内外の研究者を結集した研究体制を整備することが重要である。また、幅広い視点から地震に関する先端的な研究を推進することが重要である。

(4)地方公共団体における地震調査研究等の推進

上記の地震調査研究及び国民への広報は、国のみならず、地方公共団体の協力も得つつ、地域に密着して行うことが効果的である。このため、平成7年度及び平成8年度に創設された各地方公共団体への交付金制度及び補助金制度に基づく事業を、平成10年度においても引き続き実施する必要がある。

(5)必要な組織、人員の拡充及び人材の育成

これらの施策を円滑かつ効果的に推進するため、地震調査研究に携わる組織、人員の拡充を図ることが不可欠である。また、国・地方公共団体における地震防災担当者を対象に、地震調査研究に関する研修を行う必要がある。

3.具体的な施策
(1)地震に関する調査観測の推進

1)地震観測・地震動(強震)観測・津波観測
高感度地震計による観測に関しては、大学等における観測研究、科学技術庁等による基盤的調査観測としての観測網の全国的な整備・運営を引き続き推進する。気象庁においては大中小地震観測施設等について、これまでに整備した施設の更新等、その維持に努める。
広帯域地震計による観測に関しては、科学技術庁防災科学技術研究所等における観測研究に加えて、科学技術庁等により、基盤的調査観測としての観測網の全国的な整備・運営を推進する。
強震計による観測に関しては、防災科学技術研究所により整備された強震ネットワーク及び気象庁により整備された震度観測網による強震観測を継続するとともに、建設省により所管の施設に設置を行っている地震計ネットワークシステムの整備を進める。また、科学技術庁等により、基盤的調査観測としての観測網の全国的な整備・運営を推進する。
海底地震計による観測については、科学技術庁、大学、気象庁により、ケーブル式海底地震計や自己浮上式海底地震計による観測を行うとともに、科学技術庁により、引き続きケーブル式海底地震計の整備を進める。
津波観測に関しては、気象庁等により津波計、検潮儀の整備・運営を継続する。
2)地殻変動等の観測
GPS連続観測施設に関しては、建設省国土地理院等により基盤的調査観測としての観測網の全国的な整備・運営を進める。
VLBI、SLRを活用した地殻変動観測・研究に関しては、郵政省通信総合研究所等により引き続き実施する。傾斜計、伸縮計、歪計等を用いた地殻変動連続観測・研究に関しては、大学、気象庁等により引き続き実施する。高精度三次元測量、高度基準点測量、天文測量、水準測量、重力測量等については、国土地理院等により引き続き実施する。
また、国土地理院等においては、面的に地殻変動をとらえるために、SAR(合成開口レーダ)干渉解析による地殻変動測定の研究を行う。
海域での地殻変動観測については、海上保安庁等においてGPS、SLRを用いた地殻変動監視観測やプレート運動の観測を行うとともに、船位を向上させるシステム(DGPS)の整備に伴い取得されるGPSデータを利用した地殻変動監視観測を行う。
験潮については、国土地理院等において、引き続き行う。
地磁気、地電流の観測・研究については、気象庁等において引き続き実施するとともに、海域での観測については海上保安庁等において引き続き実施する。
地下水等地球化学・水位変動連続観測・研究については、通商産業省工業技術院地質調査所、大学等において引き続き実施する。
3)地殻構造の調査
地質調査所等において、基盤的調査観測の対象とされた活断層を中心に、トレンチ調査、ボーリング調査、物理探査等の各種調査手法により、活動履歴や地震発生ポテンシャルを解明する調査・研究を実施する。国土地理院においては、都市圏における活断層の詳細な位置の調査を空中写真の判読等の変動地形調査等により実施する。科学技術庁では、活断層調査を実施する地方公共団体に対して交付金を交付し、活断層調査を進める。海上保安庁、地質調査所等により、沿岸海域における活断層の分布の状況等を把握するために、海底活断層調査を引き続き行う。
また、科学技術庁では、都市平野部を対象とした地下構造調査を実施する。大学においては、人工地震による地下深部構造調査を行い、地震発生の場であるプレート沈み込み帯や内陸地殻の詳細な構造を調査する。海上保安庁、地質調査所においては、海域における活構造等を明らかにするため、海底地形地質構造調査、海底活構造調査を引き続き行うほか、プレート境界域等において海底の微細な変動地形等を明らかにするため、精密海底反射強度観測、海底変動地形及び音波探査等の調査を行う。

(2)観測結果等の収集、流通及び総合的評価とその国民への広報

科学技術庁、大学、気象庁等は、気象庁における観測結果等の収集を進める。また、科学技術庁では、地震防災、地震調査研究に資するため、観測結果等を積極的かつ迅速に流通するための体制の整備を推進する。
気象庁では、気象庁本庁の地震活動等総合監視システムの整備・維持、管区気象台、沖縄気象台の地震津波監視システムの整備・維持に努めるとともに、科学技術庁では、関係機関の協力の下に、推進本部における観測データ等の分析及び総合的な評価に関する体制の整備を進める。
さらに、気象庁等では、過去に観測された地震に関するデータ等のデータベースの構築を行う。
また、建設省において、GPS連続観測等地殻変動連続観測データの統合化技術の開発を行い、統合化されたデータを用いた地殻活動観測データの総合解析技術を開発する。さらに、モデルを使った解析により、地殻活動現象の発生・進行過程を計算機上で再現し、地殻変形の評価システム及び効率的な監視手法を開発する。
そのほか、科学技術庁等では、地震現象に対する国民の理解を促進するための施策を引き続き進める。

(3)基礎・基盤研究の推進

各省庁において、別表2に示された様々な基礎・基盤研究を行う。
科学技術庁では、各種観測データを活用し、大規模な地震が発生した場合に、リアルタイムで強震動地域の把握を行い、地震の主要動が到達する前に警報を出す試行的なシステムを構築し、その実用性についての研究を行う。防災科学技術研究所では、地震発生機構に関する研究を継続する。大学では、地震発生のポテンシャル評価のための特別観測研究等の総合的観測研究事業及び基礎研究を継続して行う。地質調査所では、活断層調査等により、地震発生ポテンシャル評価の研究を行う。気象庁気象研究所では、南関東における応力場と地震活動予測及び内陸部の地震空白域における地震・地殻変動に関する研究を継続して行う。

(4)地方公共団体における地震調査研究等の推進

科学技術庁では、活断層調査を主とする地殻構造調査を進めるため、活断層調査等を実施する地方公共団体に対して交付金を交付する。
また、科学技術庁では、高感度地震計等の地震観測施設の整備を行う地方公共団体に、事業費の補助を行うとともに交付金を交付し、地震観測施設の整備を継続する。

(5)必要な組織、人員の拡充及び人材の育成

これらの施策を円滑かつ効果的に推進するため、各関係機関において必要な組織、人員の充実に努める。また、科学技術庁では、地方公共団体における地震防災担当者を対象に、地震調査研究に関する研修を継続する。
以上に基づく、平成10年度の地震調査研究関係予算概算要求は、別表1及び別表2のとおりである。

参 考資 料

政策委員会名簿
委員長 伊藤 滋   慶応大学環境情報学部教授
委 員 石川 嘉延  静岡県知事
    伊藤 和明  日本放送協会解説委員
    今井 通子  評論家
    岡田 篤正  京都大学理学部教授
    佐和 隆光  京都大学経済研究所所長
    高橋 保   京都大学防災研究所所長
    高秀 秀信  横浜市長
    鳥井 弘之  日本経済新聞論説委員
    萩原 幸男  日本大学文理学部教授
    長谷川 昭  東北大学理学部教授
    廣井 脩   東京大学社会情報研究所教授
    深尾 良夫  東京大学地震研究所所長
    本蔵 義守  東京工業大学理学部教授
    宮崎 大和  地震調査委員会委員長
    青江 茂   科学技術庁研究開発局長
    山本 正尭  国土庁防災局長
    雨宮 忠   文部省学術国際局長
    佐藤 壮郎  通商産業省工業技術院長
    土井 勝二  運輸省運輸政策局長
    木村 強   郵政省通信政策局長
    尾田 栄章  建設省河川局長
    澤井 安勇  自治省消防庁次長

予算小委員会の設置について

平成8年6月14日


政策委員会地震調査研究推進本部における地震調査研究予算の事務の調整の円滑な実施に資するため、以下のとおり、政策委員会に予算小委員会を設置する。

1.検討事項

(1) 関係行政機関の地震調査研究予算に関する調査に関すること
(2) 関係行政機関の地震調査研究予算の事務の調整方針の検討に関すること
(3) その他地震調査研究予算の事務の調整の円滑な実施のために必要な事項

2.構成員等

(1) 小委員会を構成する委員及び専門委員については、政策委員会委員長が別途定める。
(2) 小委員会に主査を置き、小委員会の構成員の中から政策委員会委員長が指名する。
(3) 主査は、小委員会に専門家を招へいし、意見を聴取することができる。

予算小委員会名簿
主 査 萩原 幸男  日本大学文理学部教授
委 員 安藤 雅孝  京都大学防災研究所教授
    菊地 正幸  東京大学地震研究所教授
    土岐 憲三  京都大学工学部教授
    鳥井 弘之  日本経済新聞論説委員
    廣井 脩   東京大学社会情報研究所教授
    本蔵 義守  東京工業大学教授

平成9年度における政策委員会における審議経過
平成9年5月12日 第4回予算小委員会
平成9年6月16日 第8回政策委員会
平成9年7月29日 第5回予算小委員会
平成9年8月 5日 第6回予算小委員会
平成9年8月21日 第7回予算小委員会
平成9年8月27日 第9回政策委員会


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