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「南海トラフの地震活動の長期評価」を一部改訂しました

令和7年9月26日、地震調査委員会は、南海トラフの地震活動について、新たな知見を踏まえ、地震発生確率の計算方法を見直し、長期評価を一部改訂しました。

最新の科学的知見を取り入れた今回の評価においても、南海トラフでの地震発生確率は、従来と同じく、最も高いランクに位置づけられることが確認されました。

地震調査委員会としては、国民の皆様や、防災関係機関には、引き続き、防災対策や日頃からの備えに努めていただけるよう呼びかけます。

詳細

参考リンク

南海トラフの地震活動に関するQ&A

<詳細>

◆ 確率の見直しについて

地震調査委員会は、これまで、南海トラフ地震について、過去の同地域における地震規模(隆起量)や地震発生時期の間隔(発生間隔)等をもとに、今後30年以内に地震が発生する確率を算出しており、令和7年1月1日時点では「80%程度」としていました。

今般、隆起量のデータや、地震発生確率を計算する方法を見直したうえで、改めて南海トラフ地震の発生確率を計算し直しました。

その結果、具体的には、
・ 地震発生間隔と隆起量データここでは、南海トラフ地震による高知県室津港の海底の隆起量を指します。
南海トラフ地震の規模が大きいほど室津港の隆起量も大きいことが知られています。
を用いた計算方法(「すべり量依存BPTモデル」と呼びます)からは、「60~90%程度以上地震本部では、確率値が94.5%以上の場合は、「90%程度以上」と表記することにしています。」という確率値が算出されました。
・ また、多くの海溝型地震で用いている、発生間隔のみを用いた計算方法(「BPTモデル」と呼びます)からは「20~50%」という確率値が算出されました。

地震発生確率については、地震本部では、海溝型地震のうち、30年以内の地震発生確率が26%以上の場合は、ランク表記で最も高い「IIIランク」(高い)と位置付けることとしています。

今回見直したいずれの確率計算の結果も、見直し前の結果も、同じく「IIIランク」(高い)に位置づけられます。

◆ 評価結果と防災対策について

したがって、南海トラフ地震の発生確率は、最新の科学的知見を取り入れても、「高い」という評価が変わるものではありません。国民や、地方公共団体の防災担当や、民間企業の技術者等の皆様方には、引き続き、地震発生に対する防災対策や日頃の備えに努めていただきたいと思います。

なお、南海トラフ地震の確率は高いものではありますが、何%といった具体的な確率値が必要となることもあると思います。今回採用した2つの計算手法は、どちらも科学的に根拠があり、優劣は付けられないものです。

しかしながら、 防災対策では「疑わしいときは行動せよ」等の考え方に基づいて、国民の皆様方におかれては、「60~90%程度以上」を念頭に行動していただきたいと思います。また、自治体の皆様方も、住民の方々に対して防災を呼び掛けるときには、そのような対応としていただくことが望ましいと考えます。

◆ 南海トラフ地震への備えが分かるページ
 「南海トラフ地震 -その時の備え―」(内閣府・気象庁の解説リーフレット)
 「地震では、どのような災害が起こるのか」(首相官邸のページ)
 「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」(政府広報オンライン)

◆ 地震調査委員会「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版一部改訂)」の詳しい内容が分かる資料
 南海トラフの地震活動の長期評価(第二版一部改訂)の概要資料
 南海トラフの地震活動の長期評価(第二版一部改訂)について(報告書)

◆ 地震本部の南海トラフで発生する地震の解説ページ
 南海トラフで発生する地震(地震本部)

◆ 一部改訂後の南海トラフ地震の発生確率の伝え方の実例
 南海トラフ地震に関連する情報(気象庁ホームページ)

<南海トラフの地震活動に関するQ&A>

Q1:南海トラフの地震発生確率の値には、なぜ「幅」があるのか。

A:
地震現象の確率計算にあたっては、元になる規模の大きい地震データの少なさや誤差により、計算結果にどうしても「不確実性」が含まれます。以前の評価では、「不確実性」の大きさを科学的に妥当な方法で表現することができませんでした。

今回は、この「確率の不確実性」の度合いを定量的に示すために、最新の科学的知見を取り入れることで、具体的な「幅」を示すという改善を行いました。

なお、今回は、確率の幅を「70%信用区間」という考え方で計算しています。これは、「この幅の中に真の確率が70%の確からしさで含まれる」ということを意味します。

Q2:南海トラフの地震発生確率には、なぜ2つの値があるのか。

A:
今回の評価では、特徴の異なる2つの計算方法を用いています。

その一つは、地震発生時期の間隔(発生間隔)と隆起量データここでは、南海トラフ地震による高知県室津港の海底の隆起量を指します。
南海トラフ地震の規模が大きいほど室津港の隆起量も大きいことが知られています。
を使う方法(「すべり量依存BPTモデル」と呼びます)です。
2種類のデータを用いることで、南海トラフ地震の特徴をより正しく捉えた予測の実現が期待できる一方、計算に用いることのできる隆起量データが、記録の残る直近3回分の地震しかないという課題もあります。

もう一つは、発生間隔のみを使う方法(「BPTモデル」と呼びます)です。
この方法では、過去6回分の地震の発生間隔を用いることで、より長期的な傾向を反映できる一方、1種類のデータしか用いていないために、南海トラフ地震の特徴を正しく捉えるという点で劣る可能性があります。

2つの計算方法のいずれにも、こうした長所と短所があるため、2つの計算方法から算出される確率値に、現時点で互いに優劣がつけられないと判断しており、それぞれの確率値を示すこととしました。

Q3:なぜ、南海トラフの地震発生確率の2つの値のうち、高い確率値の方を強調するのか。

A:
防災対策を推進するにあたって、高い確率値の方を強調する理由としては、次の3点をあげることができます。

① 中央防災会議等の政府の方針として、南海トラフ地震の防災対策が最大規模の地震による被害を想定して行われており、最悪事態を想定した対応が求められること

② 2つの計算方法は、いずれも、科学的な根拠があるものであり、「プロアクティブの原則」で知られる「疑わしいときは行動せよ」等の考え方に基づけば、低い方の確率値よりも、高い方を念頭に置いて行動すべきこと

③ 南海トラフ地震について、これまで説明に用いてきた確率値が、計算方法の見直しによるものであるにもかかわらず、大きく変わると、情報の受け手にとって無用な混乱をもたらすことが懸念されます。分かりやすくリスクを伝え、その結果として備えを促進させるという長期評価の本来の目的を達するために、2つの計算方法に優劣がつけられない場合は、説明の仕方の継続性も勘案し、これまで採用されてきた計算方法と同様の方法から計算された確率値を強調することが望ましいこと

なお、これらの内容は、地震本部の広報検討部会で議論し、地震調査委員会へ向けた助言として取りまとめられています。

(参考)
「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)」一部改訂に関する広報検討部会から地震調査委員会への助言(令和7年9月 広報検討部会)

Q4:地方公共団体の広報物などに、南海トラフの地震発生確率はどのように記載したらよいのか。

A:
1. 南海トラフ地震の発生確率は「高い」

今回の確率の見直しを受けて、地震調査委員会としては、まず、広報物等の中では、「南海トラフの地震発生確率は高い」ということを示していただきたいと考えます。さらに必要があれば、地震調査研究推進本部(地震本部)が定めたランクの中で、「最も高いランクに位置づけられる確率」であることを示すのがよいと考えます。

◆ 確率のランクの補足説明

地震本部では、海溝型地震について、今後30年以内の地震発生確率に基づき、以下のとおりランク分けを行っています(幅がある確率については、幅の上限値に基づいてランク分けすることとなっています)。
 ・ Ⅲランク(高い):26%以上
 ・ Ⅱランク(やや高い):3%~26%未満
 ・ Ⅰランク:3%未満
 ・ Xランク:不明(すぐに地震が起きることを否定できない)

◆ 発生確率の伝え方の参考事例

 ・ 「南海トラフ地震に関連する情報」(令和7年10月気象庁)

◆ その他発生確率の伝え方の文例

“…南海トラフ地震の発生確率は、高い*と評価されており、…”

* 発生確率の評価は、地震調査研究推進本部(R7.9)による。

“…南海トラフ地震の発生確率は、最も高いⅢランクに位置づけられる確率*と評価されており、…”

* 発生確率の評価は、地震調査研究推進本部(R7.9)による。

“…地震調査研究推進本部によると、南海トラフ地震の発生確率は、最も高いⅢランクに区分されており、日ごろの備えが望まれます。…”

2.具体的な確率値を示す場合

他方、防災対策の推進にあたって、地方公共団体等が、住民等に対し、何%といった具体的な確率値を伝えることが必要となることもあると思います。その場合には、2つの計算方法のうち、より高い方の確率値である「60~90%程度以上」を強調するのが望ましいと考えます。それは、いずれの確率値の計算結果も、科学的な根拠があり、優劣がつけられないものの、防災対策上は、「疑わしいときは行動せよ」等の考え方に基づく伝え方が重要だからです。

◆ 具体的な確率値の伝え方の例

(1)文書の場合:
本文中で「60~90%程度以上」を示しつつ、情報の受け手が根拠、背景等を確認できるよう、注書きで、出典が地震本部であることに言及する伝え方のほか、スペースが許せば、もう一つの計算結果も掲載するという伝え方も挙げられます。

(文例)

“…南海トラフ地震が今後30年間に発生する確率は60~90%程度以上*と評価されており、…”

* 発生確率の評価は、地震調査研究推進本部(R7.9)による。

“…南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率は60~90%程度以上*と評価されており、…”

* 地震調査研究推進本部によれば、「20~50%」又は「60~90%程度以上」と評価されているものの、
防災対策を推進するにあたっては、「60~90%程度以上」を強調するのが望ましいとされている。

(2)ポスター等の印刷物や口頭の場合:
高い方の確率値である「60~90%程度以上」を示しつつ、「地震調査研究推進本部によると」など、出典に言及することが望ましいと考えます。

(文例)

“…地震調査研究推進本部によると、南海トラフ地震の発生確率は60~90%程度以上と示されており、日ごろの備えが望まれます。…”

3.その他留意していただきたい事項

なお、確率値の表記について、以下の表記の仕方は、適切ではないと考えております。
 ・ 幅の中での低い方(60%)のみや、高い方(90%程度以上)のみを示すこと
  (確率値は、幅をもって示すことが科学的に妥当であるため)
 ・ 2つの計算方法による確率の幅をつなげて「20~90%程度以上」と表記すること
  (2つの計算方法は、それぞれ元となる考え方が異なるため)

また、「20~50%」や「60~90%程度以上」という確率値は、2025年1月1日を基準日としたときの値であり、時間の経過に伴ってこれらの値は更新される可能性があります。

その他、地方公共団体の広報物などに、南海トラフの地震発生確率はどのように記載したらよいのか、質問等がございましたら、お気軽に、こちらの窓口からお問い合わせください。

(更新日時:令和7年11月17日)

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