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神奈川県

 神奈川県に被害を及ぼす地震は、主に相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震と、陸域の様々な深さの場所で発生する地震です。

      神奈川県とその周辺の主な被害地震  (図をクリックすると拡大表示)
神奈川県とその周辺の主な被害地震  相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震としては、1923年の関東地震(M7.9)がよく知られています。この地震の震源域は、県内のほぼ全域を含んでいると考えられており、県内では強い揺れが生じました。県内の全域で震度6の揺れとなり、南部の一部では震度7相当の揺れが生じたと推定されています。火災による被害も合わせて、県内では死者・行方不明者33,067名などの非常に大きな被害が生じました。さらに、1923年の関東地震の余震である1924年の丹沢山塊の地震(M7.3、丹沢地震と呼ぶこともあります)でも、県内で死者13名などの被害が生じました。また、1703年の元禄地震(M7.9〜8.2)でも、小田原をはじめ沿岸部を中心に、死者約2,300名などの大きな被害が生じました。
 県西部地域では、1633年の相模・駿河・伊豆の地震(M7.0)、1782年の相模・武蔵・甲斐の地震(M7.0)、1853年の小田原付近の地震(M6.7)などのM7程度の被害地震が繰り返し発生してきました。これらの地震と1703年の元禄地震(M7.9〜8.2)、1923年の関東地震(M7.9)の発生年数などから、この地域に被害を及ぼす大地震が、約70年間隔でほぼ規則的に繰り返し発生し、現在は次の発生時期にあたっているという説が出されています。これは、歴史の資料の解釈に基づくと同時に、フィリピン海プレート上の伊豆半島が陸側のプレートの下に沈み込めずに衝突しているために、関東地方の下に沈み込むフィリピン海プレートと伊豆半島の間が、裂けるような形で破壊されなければならないという考えに依っています。一方で、この説に関してはいくつかの異論も唱えられています。
 県北西部の丹沢山地から山梨県東部にかけての深さ10〜30kmの場所では、伊豆半島が陸側のプレートに衝突するために生じると考えられる地震活動が活発で、M5〜6程度の地震は、数年に1回の割合で発生し、若干の被害が生じたことがあります。
 陸域の深い場所で発生した地震としては、最近では1992年の東京湾南部(浦賀水道付近)の地震(M5.9、深さ92km)などで若干の被害が生じたことがあります。
 1855年の(安政)江戸地震(M6.9)や(明治)東京地震と呼ばれる1894年の地震(M7.0)、1930年の北伊豆地震(M7.3)など周辺地域で発生する地震や東海沖・南海沖などの太平洋側沖合で発生するプレート境界付近で発生する地震によっても被害を受けたことがあります。さらに、外国の地震によっても津波被害を受けたことがあります。
 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、県内で死者4名、負傷者138名などの被害が生じました (平成27年1月9日現在、警察庁調べ)。
 神奈川県の主要な活断層には、県中部に南北に延びる伊勢原断層、静岡県との県境の丹沢山地南縁から相模湾に延びる塩沢断層帯・平山−松田北断層帯・国府津−松田断層帯(神縄・国府津−松田断層帯)、三浦半島中南部とその周辺海域に分布する三浦半島断層群、県西部から伊豆半島に延びる北伊豆断層帯があります。また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、相模トラフ沿いで発生する地震があります。
 県全域が、「首都直下地震緊急対策区域」に指定されています。
 県内の27市町が、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。また、13市町は「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されています。

  【 神奈川県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
  【 神奈川県に被害を及ぼした主な地震 】  【 リンク 】

○神奈川県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震  [上に戻る]

地震 マグニチュード 地震発生確率
(30年以内)

【地震発生確率値の留意点】
海溝型地震







東北地方太平洋沖型  Mw8.4〜9.0  ほぼ0%
三陸沖北部から房総沖
の海溝寄り
津波地震 Mt8.6−9.0前後 30%程度
(特定海域で7%程度)
正断層型 8.2前後
Mt8.3前後
4%〜7%
(特定海域で1%〜2%)
福島県沖 7.4前後
(複数の地震が続発する)
10%程度
茨城県沖 6.9〜7.6 70%程度
   繰り返し発生する
プレート間地震
 6.7〜7.2  90%程度もしくはそれ以上
相模トラフ 相模トラフ沿いのM8クラスの地震 M8クラス
(M7.9〜M8.6)
ほぼ0%〜5%
プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震 M7程度
(M6.7〜M7.3)
70%程度
南海トラフ 南海トラフで発生する地震 M8〜9クラス 70%程度
内陸の活断層で発生する地震
深谷断層帯・綾瀬川断層
(関東平野北西縁断層帯・
元荒川断層帯)
深谷断層帯 7.9程度 ほぼ0%〜0.1%
綾瀬川断層(鴻巣−伊奈区間) 7.0程度 ほぼ0%
綾瀬川断層(伊奈−川口区間) 7.0程度 不明
立川断層帯 7.4程度 ほぼ0.5%〜2%
鴨川低地断層帯 7.2程度以上 不明
三浦半島断層群 主部 (衣笠・北武断層帯) 6.7程度
もしくはそれ以上
ほぼ0%〜3%
主部 (武山断層帯) 6.6程度
もしくはそれ以上
6%〜11%
南部 6.1程度
もしくはそれ以上
不明
伊勢原断層 7.0程度 ほぼ0%〜0.003%
塩沢断層帯・
平山−松田北断層帯・
国府津−松田断層帯
(神縄・国府津−松田断層帯)
塩沢断層帯 6.8程度以上 4%以下
平山−松田北断層帯 6.8程度 0.09%−0.6%
国府津−松田断層帯 相模トラフで発生する海溝型地震と同時に活動すると推定
曽根丘陵断層帯 7.3程度 1%
富士川河口断層帯 ケースa 8.0程度 10%〜18%
ケースb 8.0程度 2%〜11%
もしくはそれ以下
身延断層 7.0程度 不明
北伊豆断層帯 7.3程度 ほぼ0%
  (算定基準日: 2015年1月1日)


○神奈川県に被害を及ぼした主な地震  [上に戻る]

西暦(和暦) 地域(名称) 主な被害
818年
(弘仁9)
関東諸国 7.5以上 (相模、武蔵、下総、常陸、上野、下野などで被害。圧死者多数。)
878年11月1日
(元慶2)
関東諸国 7.4 (相模、武蔵を中心に被害。圧死者多数。)
1257年10月9日
(正嘉1)
関東南部 7.0〜7.5 鎌倉で山崩れ、社寺・家屋倒壊などの被害。
1293年5月27日
(永仁1)
鎌倉 7.0 鎌倉で社寺・家屋倒壊、焼失などの被害。死者数、数千から23,000人余の諸説あり。
1498年9月20日
(明応7)
東海道全般 8.2〜8.4 鎌倉で津波により、溺死者200人。
1633年3月1日
(寛永10)
相模・駿河・伊豆 7.0 小田原で最も被害が大きく、小田原市内で死者150人、家屋全壊多数。箱根でも死者あり。
1649年9月1日
(慶安2)
川崎・江戸 6.4 川崎で民家140〜150軒などが倒壊。付近の村でも家屋倒壊あり。死傷者多数。
1697年11月25日
(元禄10)
相模・武蔵 6.5 鎌倉で家屋全壊あり。
1703年12月31日
(元禄16)
(元禄地震) 7.9〜8.2 沿岸部を中心に甚大な被害。小田原領内で、死者2,291人、家屋全壊8,007棟。津波による被害もあり。
1782年8月23日
(天明2)
相模・武蔵・甲斐 7.0 箱根、小田原で被害が大きく、住家約800棟破損。
1812年12月7日
(文化9)
武蔵・相模 6 1/4 横浜で、家屋全壊22棟。付近でも死者、家屋全壊あり。
1853年3月11日
(嘉永6)
小田原付近 6.7 小田原を中心に被害。死者24人、負傷者13人、家屋全壊1,088棟。
1855年11月11日
(安政2)
((安政)江戸地震) 7.0〜7.1 県東部を中心に被害。死者37人、負傷者75人、家屋全壊64棟。
1894年6月20日
(明治27)
東京湾北部
((明治)東京地震
とも呼ばれる)
7.0 横浜市、橘樹郡を中心に被害。死者7、負傷者40、建物全半壊40。
1923年9月1日
(大正12)
(関東地震) 7.9 死者・行方不明者33,067人、住家全壊62,887棟、住家焼失68,569棟、住家流出埋没136棟。
1924年1月15日
(大正13)
丹沢山塊
(丹沢地震
とも呼ばれる)
7.3 関東地震の余震。死者13人、負傷者466人、住家全壊561棟。
1930年11月26日
(昭和5)
(北伊豆地震) 7.3 死者13人、負傷者6人、住家全壊88棟。
2005年2月16日
(平成17)
茨城県南部
→【地震本部の評価】
5.3 負傷者1人。
2005年7月23日
(平成17)
千葉県北西部
→【地震本部の評価】
6.0 負傷者9人。
2009年8月11日
(平成21)
駿河湾
→【地震本部の評価】
→【リンク集】
6.5 負傷者4人。
2011年3月11日
(平成23)
(平成23年(2011年)
東北地方太平洋沖地震)
【地震本部の評価】
→平成23年3月11日公表
→平成23年3月13日公表
→平成23年4月12日公表
→平成25年3月11日公表
→平成26年3月11日公表
→平成27年3月10日公表
9.0 死者4人、負傷者138人、建物半壊41戸 (平成27年3月11日現在、警察庁調べ)。


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 活断層評価等

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