平成27年3月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以降の地震活動の評価

○ 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(以下、東北地方太平洋沖地震、Mw9.0)の余震は、岩手県沖から千葉県東方沖にかけての領域におよぶ広い範囲(以下、余震域)で発生している。 (Mw:モーメントマグニチュード)

○ 余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月〜2014年2月)では10分の1以下、3年後からの1年間(2014年3月〜2015年2月)では15分の1以下にまで減少してきているものの、東北地方太平洋沖地震前の平均的な地震活動状況と比がると2倍以上であり、依然として活発な状況にある。【資料1参照】

○ 余震活動を領域に分けてみると、沿岸部では地震活動が定常的に高い状態にある。沖合では2014年7月12日の福島県沖の地震(M7.0)や、2015年2月17日の三陸沖の地震(M6.9)のように、規模が大きく津波を伴う地震が時折発生している。

○ GNSS連続観測によると、東北地方から関東・中部地方の広い範囲で余効変動と考えられる地殻変動が引き続き観測されている。地殻変動量は、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間で、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であったものから、最近1ヶ月あたりでは水平方向、上下方向ともにほぼ1cm未満と小さくなっているが、地震前の動きには戻っていない。【資料2参照】

○ なお、2004年に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生している。【資料3参照】

○ 以上のことから、余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあると見てとれるものの、依然として東北地方太平洋沖地震前の地震活動より活発な状況にあることや、他の巨大地震における事例から総合的に判断すると、今後も長期間にわたって余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。