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その他の活動時期の不確定性

  最新の地震のみならず,一般に観測事象列データ tex2html_wrap_inline5844 が不確定性を持っている 場合には,以下のような取り扱いが可能である[17]。

観測事象列データ tex2html_wrap_inline5844 がそれぞれ密度関数 tex2html_wrap_inline6114 に従うとき, 不確定データをパラメータとして,これをいわゆる事前分布と考える。 確定した時刻については tex2html_wrap_inline6116 (Diracのデルタ関数) を考えればよい。 尤度 tex2html_wrap_inline6118 (付録B.2参照)と合わせた事後分布(確率分布)

equation680

が不確定なデータ tex2html_wrap_inline5844 の位置の確からしさを示す同時分布を与える。 ここで,分母は分子の tex2html_wrap_inline5844 に関する積分(規格化因子)

equation687

であるが,これは点過程モデルのパラメータ tex2html_wrap_inline6124 に関する尤度と考えられ, Bayesモデルの尤度(又は積分尤度)と呼ばれている。 これを最大化することによってパラメータ tex2html_wrap_inline6124 の最尤推定値を求める。 更新過程モデルの場合,その対数尤度関数は次のように書ける。

  eqnarray696

積分は密度関数 tex2html_wrap_inline6128 の台(support) gif を等分に離散化して 逐次的に数値積分を実行する(台が tex2html_wrap_inline6134 ならばDiracのデルタ関数)。 すなわち

subeqnarray709

ただし, tex2html_wrap_inline6136 ならば tex2html_wrap_inline6138 であることに注意する。 このようにして,もしすべてのデータ tex2html_wrap_inline6140 が確定していれば, 式(2.33)が付録B.2の 式(B.6)で記述される通常の対数尤度に帰着することが分かる。

以上の推定方式は信頼性のあるデータとそうでないデータを同等に扱わないで, それぞれの不確定性に見合ってモデルのパラメータ tex2html_wrap_inline6124 を推定できるので有利である。 不確定時刻のそれぞれの推定周辺密度関数は, その他の時刻に関して事後分布を積分して得ることができる。


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地震調査研究推進本部
Wed Jan 13 17:30:00 JST 1999