1−4 陸域の浅い地震はなぜ起こる……断層運動と地震

プレート運動による引っ張りや圧縮の力が大地に歪を蓄積し、歪が限界に達すると地震が発生します。そのとき地下の岩盤が、断層面を境にして急速にずれ動くために地震が起こるのです。既存の断層を動かしたり、新たに断層をつくったりするこのような動きを断層運動と呼びます。

 陸のプレート内部で断層運動が起こると陸域の浅い地震が発生します。陸地では、断層運動を生じるような硬くてもろい岩盤があるのは、地下15〜20km程度までです。したがって陸域の地震は、せいぜい地下20kmまでの比較的浅い場所で起こります。それより深いところでは、温度が高いために岩盤が軟らかく、力がかかっても流動的に変形してしまうので、急激な破壊は起きないと考えられます。

 断層は、ずれの向きによって、縦ずれ断層と横ずれ断層に分けられます。縦ずれ断層は、断層の傾斜方向(上下方向)にずれたもので、正断層と逆断層があります。地盤が引っ張られたため、断層を挟んで、上側の地塊が下へ滑り落ちるのが正断層です。逆断層は、圧縮されて上側の地塊がずり上がる場合をいいます。

 一方、水平面内で圧縮や引っ張りの力がかかると、横ずれ断層が発生します。断層の一方の側から見て、向かい側が右にずれれば右横ずれ断層、左にずれれば左横ずれ断層です。海洋プレートの沈み込みで圧縮の力を受けている日本では、逆断層や横ずれ断層がよく見られますが、実際の断層運動は、斜めにずれるなど両者が合わさったようなずれ方をします。

図1−10 縦ずれ断層 

図1−11 横ずれ断層