静岡県中部の地震(5月27日5時38分 M4.2)


【どのようなタイプの地霊だったか?】

この地震は、駿河湾西岸域の中でも地震活動が活発な地殻内で発生したように見える。ここではしばしば北西−南東方向の主圧力軸を持つプレート間の逆断層地震が発生する。しかし、今回の地震は主圧力軸が東北東−西南西方向の、横ずれ成分を若干含む逆断層タイプだった。

【どのくらいの割合で起こる地震か?】[図1]

今回の地震の近くで発生したM4以上の地震としては1991年4月以来だったが、駿河湾西岸一帯で見れば過去30年間では2年に1回強の割合でM4以上の地震が発生している。

【歪計に変化はあったか?】[図2]

地震と同時に藤枝、川根の体積歪計には伸びの明瞭なステップ状の変化が観測された。しかし、前兆と見られる変化は認められなかった。

【最近の地震活動はどうだったか?】[図3]

今年に入って震源域周辺の活動がやや低下していた様子が見られた。この低下が今回の地震の発生と関係していたかどうかは今のところわからないが、この地域で発生したM4〜5クラスの他の地震の前にも同様な低下のあったことが認められる。

【東海地震との関わりは?】

今回の地震発生は単にこれだけで東海地震の切迫性を示すものとは考えにくい。しかし、昨年6月以降、石花海堆で地震活動が活発化していることや、1992年ころから地殻変動にゆらぎが見られるとの指摘もなされていることから、より一層注意深く地震・地殻活動の状況を見守っていく必要がある。


気象庁


1996年5月の地震活動について