平成15年1月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年12月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 12月1日に十勝沖の深さ約100kmでマグニチュード(M)5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震である。この付近では1993年1月15日に釧路沖地震(M7.8)が発生している。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 12月5日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.2の地震が発生した。この地震の直後にほぼ同じ場所でM4.9の地震も発生している。これらの地震は、11月3日の地震(M6.1)の震央から約30km南東に位置している。また、今回の地震の震央付近では1978年2月20日にM6.7の地震が発生している。この地震は同年6月12日の宮城県沖地震(M7.4)に先行して、太平洋プレート内部で発生したと考えられるが、今回の地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 12月23日に茨城県南部の深さ約55kmでM4.1の地震が発生した。

○ 12月4日に長野県南部の深さ約10kmでM4.2の地震が発生した。この付近では1984年9月14日に長野県西部地震(M6.8)が発生している。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




補足

○ 2003年1月7日に日高支庁東部の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。



2002年12月の地震活動の評価についての補足説明

平成15年1月8日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は58回(11月は49回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。M5.0以上の地震の発生は3回(11月は4回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年12月にはM6.0以上の地震は発生しなかった。2002年は11月までに13回発生している。
2001年12月以降2002年11月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近2002年3月31日M7.0
−青森県東方沖2002年10月14日M5.9(深さ約50km)
−宮城県沖2002年11月3日M6.1(深さ約45km)
−日向灘2002年11月4日M5.7(深さ約35km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年12月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、12月24日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年12月24日気象庁地震火山部)

「東海地域の地震活動は、地殻内およびフィリピン海プレート内ともに平常レベルです。
東海地域及びその周辺において、昨年からの長期的な地殻変動が依然継続しています。その原因となるプレート境界のゆっくり滑りの状況に特段の変化は見られません。
なお、水準測量に見られた6月〜10月における御前崎付近の沈降不足は、その後の国土地理院の水準およびGPS観測によれば、一時的な揺らぎ現象であったと見られます。
現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−12月11日に房総半島南東沖でM5.9の地震が発生した。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−12月17日に和歌山県南部の深さ約10kmでM4.3の地震が発生した。この地震の発震機構は、北東−南西方向に張力軸を持つ正断層型であった。

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(5) 九州・沖縄地方

−12月7日に奄美大島近海の深さ約30kmでM4.7の地震が発生した。

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補足

−2003年1月6日に青森県東方沖の深さ約50kmでM4.9の地震が発生した。この付近では10月14日にM5.9の地震が発生し、最大震度5弱を観測している。
−2003年1月5日に宮城県沖の深さ約100kmでM4.4の地震が発生した。

訂正

「2002年11月の地震活動の評価」(12月11日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の補足説明の内容について以下のとおり訂正します。

(修正前)
−10月上旬に房総半島南東部で、プレート境界でのゆっくりとした滑りが原因と考えられる系統的な地殻変動が観測されたが、10月中旬にはほぼ収まった。また、それとほぼ同時期から千葉県南部で地震活動が続いていたが、これも11月中旬にはほぼ収まった。
(修正後)
−10月上旬に房総半島南東部で、プレート境界でのゆっくりとした滑りが原因と考えられる系統的な地殻変動が観測されたが、10月中旬にはほぼ収まった。また、それとほぼ同時期から房総半島東方沖と千葉県南部で地震活動が観測され、房総半島東方沖の地震活動は10月中旬には収まった。千葉県南部はその後も地震活動が続いていたが、これも11月中旬にはほぼ収まった。

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。