平成14年12月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年11月の地震活動の評価


1 主な地震活動

○ 11月3日に宮城県沖の深さ約45kmでマグニチュード(M)6.1の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。

○ 11月4日に日向灘の深さ約35kmでM5.7の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 11月17日にオホーツク海南部の深さ約500kmでM7.0の深発地震が発生した。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 11月3日に宮城県沖の深さ約45kmでM6.1の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構はほぼ西北西−東南東に圧力軸をもつ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、次第に低下した。現在はほぼ平常の活動状態に戻っている。なお、この付近では、過去にM6クラスの地震が繰り返し発生している(1954年、1973年、1986年)。また、この地震は1978年6月12日の宮城県沖地震(M7.4)の震央から約80km北に位置し、その震源域からは外れている。

○ 11月16日に宮城県北部の深さ約10kmでM4.2の地震が発生した。この付近では、9月9日と19日にもM4.1の地震が発生している。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。

○ 11月17日に石川県加賀地方の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構はほぼ東西に圧力軸をもつ逆断層型であった。この付近では15日から地震活動が活発化していたが、下旬以降ほぼ収まりつつある。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 11月4日に日向灘の深さ約35kmでM5.7の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構はプレートの沈み込みの方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、次第に低下してきている。 補足説明へ




補足

○ 12月1日に十勝沖の深さ約100kmでM5.4の地震が発生した。
○ 12月5日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.2の地震が発生した。この地震は、11月3日の地震(M6.1)の震央から約30km南東に位置している。
○ 12月4日に長野県南部の深さ約10kmでM4.2の地震が発生した。この付近では1984年9月14日に長野県西部地震(M6.8)が発生している。



2002年11月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年12月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は49回(10月は164回で、そのうち石垣島北方沖の活動によるものが100回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。M5.0以上の地震の発生は4回(10月は19回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年11月にはM6.0以上の発生は2回。2002年は10月までに11回発生している。
2001年11月以降2002年10月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近2002年3月31日M7.0
−青森県東方沖2002年10月14日M5.9(深さ約50km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年11月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、11月25日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年11月25日気象庁地震火山部)

「東海地域の地震活動は、地殻内およびフィリピン海プレート内ともに平常レベルです。
東海地域及びその周辺において、昨年からの長期的な地殻変動が依然継続しています。その原因となるプレート境界のゆっくり滑りの状況に特段の変化は見られません。
なお、前回報告した御前崎付近の沈降不足現象は、その後の国土地理院のGPS観測によれば、進行しているようには見えません。また、周辺の体積歪計にも変化は認められません。
現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」


「11月17日に石川県加賀地方の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。」:
この付近では、8日から地震活動が始まった。15日から18日にかけて活動が活発化し、M4.5の地震で最大震度4を観測するなど最大震度1以上の地震が7回観測された。

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−10月上旬に房総半島南東部で、プレート境界でのゆっくりとした滑りが原因と考えられる系統的な地殻変動が観測されたが、10月中旬にはほぼ収まった。また、それとほぼ同時期から房総半島東方沖と千葉県南部で地震活動が観測され、房総半島東方沖の地震活動は10月中旬には収まった。千葉県南部はその後も地震活動が続いていたが、これも11月中旬にはほぼ収まった。
−8月13日から始まった八丈島付近の地震活動は12月に入ってほぼ収まっている。

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

−10月24日から始まった石垣島北方沖の地震活動は、12月上旬にはほぼ収まりつつある。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。