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  1. 地震・津波の提供情報
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  3. リレーコラム ~これからの地震調査研究推進~  居危思危(危うきにありて危うきを思う) / Information:地震本部の素材集

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)春号)

 災害対策という文脈で「備えあれば憂い無し(有備無憂)」という表現がしばしば使われます。この出典は「春秋左氏伝」ですが、直前に「安きにありて危うきを思う(居安思危)」・「思いあればすなわち備えあり(思則有備)」という2行があります。地震本部の仕事は「備え」のために「危うきを思う」ことにあり、私が所属する「調査観測計画部会」はそれに必要な調査観測の計画立案を担っています。地震本部が発足して以来、活断層調査や地震・地殻変動観測網の整備が大幅に進みましたが、多くの課題が調査観測には残されていると思います。

 その一つは、観測データの活用の幅を拡げることです。観測の充実により、地震活動の現状把握能力は向上し、地震活動の背景にある地下の構造や変動現象の理解も進みました。しかし、観測データの地震発生予測への活用はまだ限定的です。地震・地殻変動の観測をもとに、大地震が起こりやすい地域の特定や大地震発生の切迫度の定量的な指標を提供するための基礎研究は進んでいて、いずれは地震本部の評価に活用できるようになるでしょう。調査観測の対象の拡大も課題です。機械による定量観測によるデータの蓄積は大地震の活動間隔の時間スケールを考えると不十分で、歴史・考古・地形・地質学的な調査結果との総合による時間軸の拡大は必須です。また、巨大地震がたびたび発生する海域での調査観測は陸域に比べて大きく立ち遅れており、継続的な取り組みが求められます。

 しばしば地震災害に遭遇している現実を考えると、我々は「危うきにありて危うきを思う」状況下にあるというべきで、調査観測の革新にかけることができる時間は限られていると思います。課題の解決には最先端の学術成果を調査観測に取り入れる必要があり、昨年末に建議された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」との連携のさらなる強化に期待しています。

 

●地震本部の素材集

 地震本部ウェブサイトでは、地震本部のパンフレット等に掲載している画像等をダウンロードいただける、「地震本部の素材集」のページを公開しています。講演や授業など防災教育の場等でぜひご利用ください。

●今後の地震の長期評価等の進め方について

 地震本部では、これまで海溝型の地震や活断層で発生する地震などの発生確率等の長期評価を実施、公表してきました。本年1月1日の「令和6年 能登半島地震」の発生を受け、2月19日に開催した、地震本部政策委員会第89回調査観測計画部会では、内陸で発生する地震及び海域活断層の長期評価について、公表可能な結果を早期に公表していくことについて議論し、「今後の地震の長期評価等の進め方について」として部会決定しました。

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)春号)

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