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富士川河口断層帯

 富士川(ふじかわ)河口断層帯は、富士山の南西山麓から静岡県東部の駿河湾奥に流れ込む富士川の河口付近にかけて、ほぼ南北に延びる活断層帯です。
 富士川河口断層帯は、静岡県富士宮市(旧富士宮市および旧富士郡芝川町)から、富士市(旧庵原(いはら)郡富士川町)を経て静岡市清水区(旧庵原郡由比町および旧同郡蒲原町)に至る断層帯です。長さは約26km以上で、概ね南北方向に延びており、断層の西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層です。ただし、本断層帯は、南方海域に延長していると推定され、北方にも延長していく可能性があります。

※それぞれの図をクリックすると大きく表示されます。
 

 【 断層帯の過去・将来の活動 】  【 将来の地震発生の可能性 】  【 リンク 】

○断層帯の過去・将来の活動  [上に戻る]
<過去の活動>
 富士川河口断層帯の平均的な上下方向のずれの速度は、約7m/千年と推定されます。富士川河口断層帯は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界付近に位置し、駿河トラフで発生した海溝型地震に伴って活動してきたと推定されます。しかし、地表地質調査では、1回のずれの量が明らかになっていません。また、本断層帯から離れた浮島ヶ原地区で認められた堆積物の急激な変化が本断層帯の活動を表しているかどうかについても明らかになっていません。このため、富士川河口断層帯が活動した際の地殻変動をどう考えるかにより、過去の活動時期について次の2つの場合が考えられます。

・ケースa
 本断層帯の最新活動時期は13世紀後半以後、18世紀前半以前であった可能性があり、平均活動間隔は約150−300年であった可能性があります。また、野外調査から直接得られたデータではありませんが、平均的なずれの速度と平均活動間隔に基づくと、本断層帯近傍の地表面では、その活動時に西側が東側に対して相対的に1−2m程度隆起した可能性があります。
・ケースb
 本断層帯の最新活動時期は6世紀以後、9世紀以前、もしくはそれ以後であった可能性があり、平均活動間隔は約1千3百−1千6百年の可能性があります。また、野外調査から直接得られたデータではありませんが、平均的なずれの速度と平均活動間隔に基づくと、本断層帯近傍の地表面では、その活動時に西側が東側に対して相対的に10m程度隆起した可能性があります。

 富士川河口断層帯の平均活動間隔は、ケースa、bに示された値をそれぞれ下限、上限とする範囲内の値である可能性もあります。
 なお、富士川河口断層帯は、駿河トラフで発生した海溝型地震とは独立して活動してきた可能性もあります。
 このように考えた場合、本断層帯の最新活動時期は6世紀以後、9世紀以前、もしくはそれ以後であった可能性があり、平均活動間隔は約1千3百−1千6百年、もしくはそれよりも短い可能性があります。また、野外調査から直接得られたデータではありませんが、断層の長さに基づくと、その活動時に断層帯の西側が東側に対して相対的に数m程度隆起した可能性がある。ただし、断層長から求められた1回のずれ量と、平均的なずれの速度および平均活動間隔から求められた値とが整合していないことに留意する必要があります。

<将来の活動>
 過去の活動に基づくと、富士川河口断層帯は、駿河トラフで発生する海溝型地震と連動して同時に活動すると推定されます。この場合、海溝型地震と合わせてマグニチュード8程度の地震が発生する可能性があります。

・ケースa
 断層近傍の地表面では、西側が東側に対して相対的に1−2m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。また、浮島ヶ原地区周辺では沈降が生じると考えられます。
 本断層帯では、活動時期が十分特定できていないことから、通常の活断層評価とは異なる手法により地震発生の長期確率を求めています。そのため信頼度は低くなりますが、将来このような地震が今後30年の間に発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになります。
・ケースb
 断層近傍の地表面では、西側が東側に対して相対的に10m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。
 将来の地震発生確率には幅がありますが、その最大値をとると、本断層帯は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになります。

 過去の活動と同様に、本断層帯の平均活動間隔は、ケースa、bに示された値をそれぞれ下限、上限とする範囲内の値である可能性もあります。この場合、最新活動時期や平均活動間隔によって、1回のずれの量や経過率、長期確率が変わることに留意する必要があります。
 なお、上述した2つのケースの他に、陸上部で認められている断層が単独で活動する可能性もある。この場合、マグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性があります。その際、断層近傍の地表面では、西側が東側に対して相対的に数m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。

 詳しい内容を知りたい方は、「富士川河口断層帯の評価(一部改訂)」( html版 / PDF版(5.8MB) )をご覧下さい。


○将来の地震発生の可能性  [上に戻る]
≪ケースa≫
 地震の規模  : M8.0程度
 地震発生確率: 30年以内に、10%〜18%  地震発生確率値の留意点
 地震後経過率: 0.9−2より大  地震後経過率とは?
 平均活動間隔: 150年−300年
 最新活動時期: 13世紀後半−18世紀前半

≪ケースb≫
 地震の規模  : M8.0程度
 地震発生確率: 30年以内に、2%〜11% もしくはそれ以下  地震発生確率値の留意点
 地震後経過率: 0.7−1.2 もしくはそれ以下  地震後経過率とは?
 平均活動間隔: 1300年−1600年
 最新活動時期: 6世紀−9世紀 もしくはそれ以後

 詳しい内容を知りたい方は、「富士川河口断層帯の評価(一部改訂)」( html版 / PDF版(5.8MB) )をご覧下さい。


○リンク  [上に戻る]

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