(参考2)

平成13年度の地震調査研究関係予算要求に反映すべき事項について

政策委員会予算小委員会


 予算小委員会は、関係行政機関の平成13年度の地震に関する調査研究予算等の事務の調整を効果的に実施するため、本年4月5日の第16回会合において、関係省庁から調査研究の実施状況と平成13年度以降の調査研究への取り組みについての基本構想をヒアリングした(参考「地震調査研究推進本部政策委員会第16回予算小委員会検討内容概要」参照。)。

 関係省庁の予算は、地震による被害の軽減に資するという基本的目標の下に、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(以下「総合基本施策」という。)に基づき諸施策を着実に推進するものであることが基本であり、本委員会としては、特に総合基本施策第3章「当面推進すべき地震調査研究」として示された事項を重点的に推進すべきと考える。

 平成13年度の地震調査研究予算の予算要求において反映すべき事項は、以下の通りと考える。

1.地震に関する基盤的調査観測の推進
2.地震に関する調査観測研究データの蓄積・流通の推進
3.活断層調査、地震の発生可能性の長期評価、強震動予測等を統合した地震動予測地図の作成
(1) 陸域及び沿岸域の地震の特性の解明と情報の体系化
(2) 海溝型地震の特性の解明と情報の体系化
(3) 地震発生可能性の長期確率評価
(4) 強震動予測手法の高度化
(5) 地下構造調査
4.リアルタイムによる地震情報の伝達の推進
5.大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域及びその周辺における観測等の充実
6.地震予知のための観測研究の推進
7.地震調査研究の成果の活用にあたって必要とされる国民の理解のための広報の実施等

 なお、7〜8月の予算小委員会での予算等の事務の調整作業においては、総合基本施策との整合性に留意しつつ、特に以下の点に重点を置き、ヒアリングを行うこととする。

@地震動予測地図の作成に向けた取り組みの推進
A地震に関する調査観測研究データの蓄積・流通について、関係省庁間で連携を取った取り組み、ITの活用による効率化
B広報活動について、地震調査研究の成果が地震による被害の軽減に活用されるよう、その内容の一層の充実や活動相互の連携
C日本列島を囲む海底における地殻変動観測を実現する測定システムの研究開発等海域における地震調査研究の取り組み

 関係省庁においては、平成13年度の予算要求に当たり、これらの事項を十分に反映されたい。

 


( 参 考 )

地震調査研究推進本部政策委員会第16回予算小委員会検討内容概要

 

 予算小委員会は、阪神・淡路大震災からの5年間において、陸域の調査観測を中心として地震調査研究は着実に進展してきていると認識している。例えば、国土地理院がGPS連続観測施設を全国的に整備したことにより、地殻変動に関する調査研究は格段に進歩したことがあげられる。本委員会としては、このような各機関のこれまでの取り組みを評価するものである。

 関係行政機関の地震調査研究予算は不必要な重複がないようにすることが重要であり、総合基本施策に沿って、各機関の特徴を活かしつつ、関係行政機関間で連携・協力して進めていくことが望まれる。

 具体的には、陸域における地震調査研究の進捗を踏まえると、今後は海域における地震調査研究の重要性も増すと考えられるが、現在、海上保安庁、地質調査所等が実施しているこれらの調査研究について、引き続き、連携を進めていくことが必要である。

 また、高感度地震観測データの流通及び公開については、引き続き、データの流通及び公開のため、より一層の措置を講じていくことが必要であり、予算面での配慮が望まれる。

 なお、各省庁の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて、以下にまとめた。

[運輸省の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 海上保安庁の海底基準局を利用した地殻変動監視観測システムは、将来の面的補足を目指し、技術開発を着実に進めるべきである。また、海域における地震調査研究については、引き続き、地質調査所等との連携を進めていくことが必要である。

 気象庁の震度計のデータは、大学における研究にも有用であるので、地方自治体との関係、システム上の問題も勘案しつつ、可能な限り、大学にも提供して欲しい。ナウキャスト地震情報提供については、引き続き、ユーザー側のニーズを把握した取り組みを進めることが大事である。

 

[建設省の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 国土地理院のGPS連続観測は、データも公開されており、地震調査研究上の成果を出しており、評価される。今後の課題としては、全国一様に観測することを基本としつつ、地域毎に適切な観測をどうするかである。

建設省における強震計データの流通・公開については、引き続き検討することが重要である。

 

[文部省の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 基盤的調査観測施設の整備状況を踏まえ、今後の大学の観測点をどのようにしていくか検討していくことが望まれる。

 

[科学技術庁の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 防災科学技術研究所において長期間継続的に実施している観測研究の中には見直すべきものがあり、更に検討することが必要である。

 

[通商産業省の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 電子技術総合研究所で行なっている電磁界計測技術のための研究については、引き続き、目的を絞って行うことが必要である。

地質調査所においては、活断層等の調査結果や研究成果を迅速に公表していることは評価できる。また、海域における地震調査研究については、引き続き、海上保安庁等との連携を進めていくことが必要である。

 

[郵政省の平成12年度以降の地震調査研究への取り組みについて]

 通信総合研究所における地殻変動観測については平成12年度に終了する予定である。


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