藤井敏嗣 (東京大学地震研究所長)

 

 推進本部により,地震観測,地殻変動観測などの基盤的観測網の整備が,補正予算等の活用もあって急速に行われており,地震調査研究にとって重要な進展があった。しかしながら,もっとも重要なことは基盤的観測網から得られる観測情報が有効な防災情報として如何に活用されるかにある。このためには精度の高い観測情報が欠測する事のないよう確保できなければならず,またこれらの観測情報を有効な防災情報として加工するための手法の開発も行われなければならない。この意味において,基盤的観測網設置後の維持管理およびデータの流通については今後まだ多くの課題が残されていると考えられる。膨大な数の観測点を維持するための保守管理を研究者に委託することは,解析能力の欠落,ひいては観測情報から防災情報への転換手法開発の遅滞を招きかねないので,維持管理のための新規機構あるいは会社の設立を含めたアウトソーシングを考えるべきであろう。さらに,地震を事前に予測することが最大の防災につながるとの認識に立てば,基盤観測網による観測結果が速やかに大学研究者を含めた多くの研究者に伝達され,予知手法の開発研究に供されることが重要であ り,即時流通システムの早急な構築が望まれる。


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