ア 前回の地震発生時点から見て、30年後までに地震が発生しているはずの確率として、「現在より30年後の時点での集積確率(%)を10の単位に丸めたもの」(意見28)
イ 最新活動時期からの経過時間が平均活動間隔を過ぎている場合には、累積確率と今後30年確率の和で表現(意見10)
参考2
評価した活断層
地震調査委員会が評価した3つの地域の5つの活断層帯の評価結果に関する報告書の記述を比較してまとめて表で示した。
断層帯名及び概要 |
糸魚川-静岡構造線断層帯 |
神縄・国府津-松田断層帯 |
富士川河口断層帯 |
日本列島のほぼ中央部に位置する、全長140〜150kmの活断層系 |
丹沢山地南縁から相模湾岸に至る延長約25kmの断層帯 |
静岡県東部の駿河湾奥に流れ込む富士川の河口付近から富士山南西山麓にかけて、ほぼ南北に延びる長さ約20kmの断層帯 |
|
場所 |
牛伏寺断層を含む区間/地震を発生させる断層区間がどこまでかは判断できない。 |
断層帯全体とその海域延長部に及ぶと考えられる。 |
駿河湾内にまで及ぶと考えられる。 |
時期 |
現在を含めた今後数百年以内 |
現在を含む今後数百年以内 |
今後数百年以内の比較的近い将来 |
規模 |
M8程度(M71/2〜81/2) |
変位量10m程度、M8程度 注)M8程度とは、8±0.5 |
地震時の変位量が7m程度またはそれ以上、地震の規模でいうとM8程度 注)M8程度とは、8.0±0.5 |
可能性 |
・・・可能性が高い。 (試算:今後30年以内14.0%) |
・・・可能性がある。 (試算:今後30年以内3.5%) |
・・・可能性がある。 (試算:今後30年以内0.1〜11.2%) |
(平均) 間隔 |
約千年おきに、・・・発生してきた可能性が高い。 (試算には1000年を使用) |
おおよその活動間隔は3千年程度・・・と推定される。 (試算には3000年を使用) |
平均活動間隔は千数百年であったと考えられる。 (試算には1900〜1500年を使用) |
前回発生時期 |
約1200年前・・・可能性が高い。 (試算には1200年を使用) |
約3千年前・・・推定される。 (試算には3000年を使用) |
千年以上前であった可能性が高い/約2千年前以降、1千年以上前(試算には1000〜2100年を使用) |
最新の活動 |
当該活断層系は、約1200年前に白馬から小淵沢までの区間(約100km)で活動し、その地震の規模はM8程度(M73/4〜81/4)であった可能性が高い。歴史地震としては、762年の地震(美濃・飛騨・信濃)が、この地震に該当する可能性がある。 |
この断層帯の最新の活動は約3千年前 (説明:約3千年前は約2800〜2900年前のこと。) |
最新活動期は千年以上前であった可能性が高い。 (説明:過去千年以上にわたる古文書があり、・・・、この断層帯付近での大地震の発生を示唆する記録は見当たらない。・・・。山崎ほか(1998)によると、最新活動時期は2100年以降) |
過去の活動 |
牛伏寺断層を含む区間では、約千年おきに、M8程度の規模の地震が発生してきた可能性が高い。具体的な活動区間と規模は、毎回約1200年前の活動と同様(M73/4〜81/4)であった可能性と、牛伏寺断層と同時に活動した断層区間が活動毎に変化し、地震の規模もM71/2〜81/2の範囲でその都度異なっていた可能性とが考えられる。 |
この断層帯の・・・おおよその活動間隔は3千年程度、1回の変位量は10m程度と推定される。その場合、地震規模はマグニチュード8程度、震源域はこの断層帯全体とその海域延長部に及んだと考えられる。 |
富士川河口断層帯は駿河湾内のプレート境界断層に連続している。平均変位速度は少なくとも7m/千年であり、その活動度は日本の中では最大級である。平均活動間隔は千数百年であったと考えられる。
|
将来の活動 |
牛伏寺断層を含む区間では、現在を含めた今後数百年以内に、M8程度(M71/2〜81/2)の規模の地震が発生する可能性が高い。しかし、地震を発生させる断層区間(場所)がどこまでかは判断できない。 |
この断層帯では、現在を含む今後数百年以内に、変位量10m程度、マグニチュード8程度の規模の地震が発生する可能性がある。震源域は断層帯全体とその海域延長部に及ぶと考えられる。 |
この断層帯の次回の活動は、地震時の変位量が7m程度またはそれ以上、地震の規模でいうとマグニチュード8程度、震源域は駿河湾内にまで及ぶと考えられる。また、その時期は今後数百年以内の比較的近い将来である可能性がある。 |
「富士川河口断層帯の調査結果と評価について」(平成10年10月)p.23
「神縄・国府津−松田断層帯の調査結果と評価について」(平成9年8月)p.12
「糸魚川−静岡構造線活断層系の調査結果と評価について」(平成8年9月)p.8から
参考3
活断層評価結果をもとに試算した長期的な地震発生確率
地震調査委員会が評価した、(1)〜(3)の活断層帯の評価結果およびその他の既存の調査結果に基づいて、(4)に示された手法のうちの一つの方法(更新過程、地震発生間隔の確率モデルがばらつきのパラメータ0.23の対数正規分布)によって長期的な地震発生確率を試算した結果を比較して表にまとめた。
但し、公表した試算値のみ。
(1)「糸魚川−静岡構造線活断層系の調査結果と評価について」(平成8年9月)
(2)「神縄・国府津−松田断層帯の調査結果と評価について」(平成9年8月)
(3)「富士川河口断層帯の調査結果と評価について」(平成10年10月)
(4)「(改訂試案)長期的な地震発生確率の評価手法について」(平成11年1月)
断層帯名 |
糸魚川-静岡構造線 断層帯 (北・中・南部) |
神縄・国府津-松田 断層帯 |
富士川河口 断層帯 |
||||
報告書(1)〜(3)に記述された数字 |
活動間隔 |
約千年おき |
おおよその活動間隔は3千年程度 |
千数百年 |
|||
前回発生時期 |
約1200年前 |
約3千年前(約2800〜2900年前) |
千年以上前であった可能性が高い/約2千年前以降、1千年以上前 |
||||
確率計算に用いた数字 |
平均活動間隔(年) |
1000 |
3000 |
1500 |
1700 |
1900 |
|
最新活動からの経過年数(年) |
1200 |
3000 |
2100 |
1500 |
1000 |
||
長期的地震発生確率(試算) |
30年 |
14.0% |
3.5% |
11.2% |
4.3% |
0.1% |
|
50年 |
未計算 |
未計算 |
18.1% |
7.2% |
0.2% |
||
100年 |
未計算 |
未計算 |
33.2% |
14.6% |
0.6% |
||
注意喚起のための指標 (試算) |
指標(1) 経過年数 比 |
452年 |
未計算 |
1009年 |
263年 |
-382年 |
|
1.61 |
未計算 |
1.92 |
1.21 |
0.72 |
|||
指標(2) |
6.06 |
未計算 |
5.92 |
2.40 |
0.07 |
||
指標(3) |
81.9% |
未計算 |
92.8% |
29.3% |
0.3% |
||
指標(4) |
0.7 |
未計算 |
0.8 |
0.4 |
0.01 |
||
指標(5) |
0.00100 |
未計算 |
0.00067 |
0.00059 |
0.00053 |
指標(1):
経過年数:Poisson分布を仮定した場合の危険率を超えた後の経過年数。負符号はその危険率を超えるまでに残された年数。
比:評価時点までの経過時間(B)とPoisson分布を仮定した場合の危険率を超えるまでの時間(A)との比(B/A)
指標(2):評価時点の危険率とPoisson分布を仮定した場合の危険率との比
指標(3):評価時点までの集積確率
指標(4):今後30年間に活動する確率とその極大値との比
指標(5):Poisson分布を仮定した場合の危険率(地震発生回数/年)(平均活動間隔の逆数)
参考4
第2回成果を社会に活かす部会資料
資料 成2-(3)
地震調査委員会による地震に関する評価(現状評価)及び
地震発生可能性等に関する長期評価について
地震調査委員会では、大きく分けて、地震活動の現状の総合評価及び地震発生可能性等に関する長期的な評価を行っている。現在における評価のやり方及び評価結果の例を説明する。
1 地震活動の現状の総合評価
(1)対象領域− マグニチュードが大きめの地震を含む活動、大きめの震度が観測された地震を含む活動、及び住民が懸念している地震活動を評価対象として選択。
− 選択した地震活動について、
を中心にして審議。
− 特に、通常の地震活動(又は静穏化)ではないと考えられる現象を、さらに選択し、詳細な審議。
− 評価文の作成及び評価文の背景にある事実を示す図等資料の選択。評価文及び選択した資料の公表。
(5)臨時会議での評価方法
− 総合的な評価に必要とされる資料の収集やその分析がほぼ準備できる時期(目処:地震発生後2日)に開催。
− 発生している現象が本震・余震型であるか、群発型であるか、又はそれ以外であると懸念されるかの総合的な評価。
− 活動の型の評価結果に応じて、次の評価:
(6)評価した地震活動の例
ア 隣国の大地震の発生が我が国の地震活動へ影響するかどうかの評価の場合(平成11年9月の地震活動)
イ 通常の地震活動の場合(平成11年7月の地震活動)
ウ 大きめの震度が観測された地震の場合(平成10年9月及び平成9年3月。臨時会議)
エ 群発地震活動があり、大きめの震度が観測された地震があった場合(平成10年8月。臨時会議)
オ 群発地震活動があった場合(平成 10年4月の地震活動)
2 長期評価としての活断層の評価
(1)対象活断層調査観測計画部会が選定した基盤的調査観測の対象活断層(2)評価結果のとりまとめ頻度
現在1年当たり1断層帯。今後1年当たり約20断層帯を目標。(3)評価に使用する資料
国からの交付金を用いた地方公共団体による活断層調査の結果、国の機関による活断層調査の結果。歴史地震研究の成果。テクトニクスの研究成果。現在の微小地震活動の分析結果及び測地測量の結果。地殻構造調査の研究成果。過去の大地震の特徴及び余震活動についての調査研究成果。活断層研究等既存研究論文。(4)標準的な評価方法
− 対象活断層の内で調査結果が一通り終了しているものの中から評価対象の選択。
− 当該断層帯として評価対象に取り込むことについて個別の断層の評価。
− 選択した活断層について、
- 過去のイベントの時期、
- 1回の地震に伴うずれ(変位)、
- 平均ずれ(変位)速度、
- 活動時期(最新活動時期を含む。)、
- 活動間隔、
- 長期的な活動可能性、
- 断層の形状
を中心にして審議。
− 評価文の作成及び評価文の背景にある事実を示す図等資料の選択。評価文及び選択した資料の公表。(5)評価した活断層