1−3 断層……大地は傷だらけ

地層や地形には、はるか大昔からの地震の跡が記録されています。本来ひと続きであったはずの地層や地形に、上下や左右への食い違いがあれば、過去に地震活動のあった可能性があります。このような地層や地形のずれを断層と呼びます。

 人間の身体にたとえれば、断層は大地の傷のようなものです。すっかり治りきってしまった傷跡のように、もう動く気遣いのないものもあります。しかしその一方、いつまた動くかもしれない、治りきっていない傷のようなものもあり、これを活断層といいます。日本列島には、周辺の海底も含めて多くの活断層が刻み込まれており、現在、日本全国で約2000が確認されています。いわば、日本の大地は傷だらけなのです。

 この活断層が動くことによって発生する地震を、陸域の浅い地震と呼んでいます。日本列島の太平洋側では海洋プレートが沈み込んでおり、その圧力で陸地は圧縮され歪みます。圧縮が続きそれ以上歪をもちこたえられなくなったとき、活断層がずれ動いて地震を起こします。

 活断層がいつまた動くかもしれないというわけは、陸地の圧縮はいつまでも続くので、動いた後でまた同じ過程を繰り返すからです。断層それぞれで圧縮の程度が違うため、平均的な活動間隔は断層によって異なります。しかしいずれも、千年〜数万年と、人間の一生に比べればはるかに長いものです。

図1−8 根尾谷断層