1−1 地球表面の移動……マントル対流とプレート運動

プレートテクトニクスという言葉があります。プレートテクトニクスとは、地震活動や火山活動など、地球の表面近くで起こるいろいろな現象を、プレートの運動で説明する学説です。

 地球の表面は、プレートと呼ばれる厚さ数10kmの岩盤でおおわれています。プレートはひと続きになっているのではなく、10数枚が集まって地球の全表面を包んでいます。しかも、そのそれぞれが違う方向に、年間数cmの速さで移動しているのです。そのためプレートどうしの間に圧縮したり引っ張り合ったりする力が働きます。この、プレートの運動が生み出す巨大な力が、地震を引き起こすのです。

 プレートを移動させる力はどこから来るのでしょうか。大きな要因と考えられているのは、マントル対流です。マントルは地表近くから深さ2900kmまで地球内部に広がる層で、地表近くの部分はプレートの下部を構成します。プレートの移動は、このマントルの対流によって、プレートが一定方向にひきずられるためと考えられます。対流するといっても、マントルは岩石でできた固体であって、液体ではありません。マントルの成分が地球中心部の熱で温められて上昇し、地表近くで冷えて下降するため、長い時間でみれば一種の対流運動をするのです。その速さは1年に数cmと大変ゆっくりしています。

 上昇したマントルの成分は、一部が溶けてマグマとなり、海嶺または海膨と呼ばれる海底山脈からあふれ出て固まります。海洋プレートの形成です。海洋プレートは海底を移動し続け、やがて陸のプレートにぶつかります。そこで海洋プレートは、比較的軽い物質でできた陸のプレートの下に沈み込んでいき、その役割を終えます。この海洋プレートの沈み込む場所が、海溝やトラフという海底の深い溝です。日本列島は、日本海溝、千島海溝、南海トラフなど、いくつもの海溝やトラフに囲まれており、海洋プレートの沈み込みがもたらす圧縮の力によって、有史以来、多くの地震災害をこうむっています。

図1−1 プレート運動