平成14年10月15日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会
強震動評価部会


宮城県沖地震を想定した強震動評価手法について(中間報告)


地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年)において、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を当面推進すべき地震調査研究の主要な課題とし、このため、強震動予測手法の高度化を推進することを項目の一つとして挙げた。

これを受け、地震調査委員会は、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を念頭におきつつ、強震動の評価手法として「詳細法」(ハイブリッドシミュレーション*1の手法を用いた精密な強震動評価方法)について検討するとともに、それを用いた強震動評価を行うこととした。地震調査委員会強震動評価部会はその一環として、海溝型地震に適用する強震動予測手法について検討を進め、その成果は「南海トラフの地震を想定した強震動評価手法について(中間報告)」(平成13年12月7日)として公表した。今回、この手法を基に、「海溝型地震の強震動評価のレシピ*2」(以下「レシピ」という)をまとめ、これにそって宮城県沖地震の強震動評価を行い取りまとめたので報告する。

この報告は地震調査委員会長期評価部会がとりまとめた「次の宮城県沖地震の震源断層の形状評価について」(本報告に添付)を踏まえて検討した。また、今回の評価は、「全国を概観した地震動予測地図」を念頭においたレシピに基づいた評価であり、今後、過去の宮城県沖地震の観測波形をより再現した評価手法の検討を行う予定であるため、中間報告として位置付けた。

なお、今回行った「詳細法」による評価は、工学的基盤までの地震動評価については現在までに得られている最新の知見を用いて行ったものである。浅層地盤の影響評価については利用できるデータが限られているため簡便な手法を用いた。地震動の計算に用いる地下構造や微視的震源パラメータの精度良い推定には限界があることから、評価結果である地震動の数値は誤差を含んでいる。個別地域の防災対策の検討を行うにあたっては、この点に留意するとともに、地域の詳細な浅層地盤データに基づいてその影響を別途考慮する必要がある。


本文 (pdf 238KB)

説明 (pdf 1,012KB)

説明に以下のような訂正がありました。(平成14年11月6日)

3.1 巨視的震源特性
 ○震源断層の位置・面積・形状・傾斜角・深さ

 正:太平洋プレート
 誤:フィリピン海プレート

図15を訂正しました。(平成15年6月9日)



次の宮城県沖地震の震源断層の形状評価について(添付資料)



*1 「ハイブリッドシミュレーションの手法」とは、「ハイブリッド合成法」とも呼ばれ、地震災害発生に係わりの深い周波数をすべてカバーした地震波形を予想する方法である(地震調査委員会強震動評価部会,2001「糸魚川−静岡構造線断層帯(北部、中部)を起震断層と想定した強震動評価手法(中間報告)」参照)。
*2 強震動評価において、震源特性、地下構造モデル、強震動計算方法、予測結果の検証の手法や設定にあたっての考え方をまとめたものをここでは「レシピ」と呼ぶ。