[静岡県]富士川河口断層帯入山断層系に関する調査

富士川河口一帯には、入山断層、芝川断層、安居山断層、入山瀬断層、大宮断層等が分布し、断層ブロック運動を行っていると推定されています(図−1)。今回の調査ではこの内、入山断層、芝川断層を中心に断層の活動度の調査を実施しました。

図−1 富士川河口断層帯の分布




写真−1は入山断層系北部の芝川断層(芝川町羽鮒地区)で行ったトレンチ調査の全景です。試験ボーリングの結果によると、付近は数万年前から現在までに堆積した地層で、もともとは沼や湖にほぼ水平に堆積した地層であること、また約2万5千年前の火山灰が、断層をはさんで約50m高低差があることが分かりました。
断層トレンチの規模は、東西30m、南北25m、深さ9mの比較的大規模な調査になりました。

写真−1 羽鮒地区トレンチ遠景


トレンチ内に断層本体は認められませんが、副次的断層(画面左側)とそれに向かって傾斜の変化した地層が4グループ認められました。(写真−2)



写真−2 羽鮒地区トレンチ北壁全景



調査の結果、過去約18,500年の間に、地層の傾斜の変化などから4回の断層活動が推定され、芝川断層南部の再来間隔は約3,000年から4,000年であることが試算されます。 
た、芝川断層南部の平均変位速度は約2.0〜2.3m/1,000年と推定され、A級の活断層であることが確かめられました。

トレンチ調査―――――  活断層のトレンチ調査は、断層の通過している場所に調査溝(トレンチ)を掘り、その断面や平面の観察によって、過去に起こった断層運動を解読していく方法です。地層の中の土器などの遺跡や植物の化石から年代に関する情報を入手し、断層運動の発生時期や活動の間隔を把握していきます。



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