[北海道]増毛山地東縁断層帯「樺戸断層群」のトレンチ調査

増毛山地の東縁には沿って南北に延びる総延長50km以上のB級活断層帯の存在が指摘されています。しかし、断層の露頭はこれまで確認されていません。この断層の存在の確認と活動の履歴を明らかにするため、1996年11月豪雪の中、北部の雨竜町豊里と南部の浦臼町札的内でトレンチ調査を実施しました(写真−1:図−1)。

写真−1 雪中のトレンチ調査(雨竜地区):礫層が斜面下方にたわみ下がっています。


図−1 調査地域の位置



雨竜トレンチでは樺戸断層群セグメントaの撓曲崖を掘削しました。壁面には約5万年前の段丘礫層の撓曲が見られ、断層運動の存在が確認されましたが、明瞭な断層面は認められませんでした。表層部は、凍結・融解による地層の乱れ(クリオターベーション)が激しく(写真−2)、撓曲の下方では、礫層より上位の地層が厚くなっていることから、クリオターベーション形成以前から断層運動があったことがわかりました。 


写真−2 雨竜トレンチの地質


浦臼トレンチは樺戸断層群セグメントcが完新世面を撓曲させている地点で実施しました。掘削の結果、砂層のくい違い(逆断層?)が認められました(写真−3)。しかしながら、この堆積物は河川堆積物であり、くい違いは旧河道の壁である可能性も大きいことから、評価については現在検討中です。14C年代測定から、このくい違いはAD90年からAD1 660年の間にできたものと考えられます。


写真−3 浦臼トレンチで見られる砂層のくい違い



トレンチ調査―――――  活断層のトレンチ調査は、断層の通過している場所に調査溝(トレンチ)を掘り、その断面や平面の観察によって、過去に起こった断層運動を解読していく方法です。地層の中の土器などの遺跡や植物の化石から年代に関する情報を入手し、断層運動の発生時期や活動の間隔を把握していきます。


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