[愛知県]加木屋断層、高浜撓曲崖及びその周辺の活断層調査

[1] 活断層の有無、位置及び長さ並びに断層の連続性

  1.  大高−大府断層(8q)と高浜撓曲崖(3q)は、従来別々の断層と考えられていたが、衣浦湾の音波探査や地質構造の調査結果から連続している可能性が高いことが判明した。この活断層を、今後大高−高浜断層(21q)と称する。断層の存在が初めて確認されたので、確実度はUからTになった。
  2.  加木屋断層(13q)は、物理探査結果及び地質構造の調査結果から、阿久比撓曲(3.5q)と連続し、さらに半田市南部の成岩地区まで伸びていることが明らかになった。この断層を、今後加木屋−成岩断層(30q)と称する。また、確実度はUからTになった。
  3.  従来加木屋断層の一部と考えられていた阿久比町から半田市亀崎地区付近に至る断層は、物理探査結果や地質構造の調査結果から、加木屋断層とは連続せず、別の構造であることが判明した。今後これを阿久比東部撓曲(3.5q)と称する。


図−1 調査前後の活断層位置概略図の対比



[2] 活断層の過去の活動の程度

  1.  大高−高浜断層は、平均変位速度が0.1〜0.15m/千年と推定されたので、活動度はBとなった。
  2.  加木屋−成岩断層は、平均変位速度が0.12m/千年と推定されたので、活動度はBとなった。


写真−1 街路での浅層反射法弾性波探査



写真−2 住宅の隣でのボーリング調査




[3] 活断層の活動履歴、最近活動した時期、次の活動までの期間

  1.  大高−高浜断層の活動間隔は、平均変位速度から1万年〜 1.7万年程度と推定され、最近活動した年代は2〜3千年程度前と推定される可能性が高いので、次の地震の発生は差し迫ったものとは考えられない。ただし、やや小規模な地震の発生は予測できないので、無警戒というわけにはいかない。
  2.  加木屋−成岩断層については、ボーリング調査及び既存調査による平均変位速度から活動間隔を約2万年と推定した。活動度が高くないため、地震発生の可能性は一般的には高くないと考えられる。ただし、この断層沿いには、最近活動した証拠は得られておらず、トレンチ調査の適地も存在しないため、将来の地震発生時期の予測を厳密に行うことは不可能である。
  3.  平井撓曲及び阿久比東部撓曲は、この数十万年では活動している証拠が得られなかった。




写真−3 大高−高浜断層のトレンチ観察とその様子を取材するテレビ局




図−2 トレンチ地点位置図




トレンチ調査―――――  活断層のトレンチ調査は、断層の通過している場所に調査溝(トレンチ)を掘り、その断面や平面の観察によって、過去に起こった断層運動を解読していく方法です。地層の中の土器などの遺跡や植物の化石から年代に関する情報を入手し、断層運動の発生時期や活動の間隔を把握していきます。


目次へ戻る

地震のページへ戻る