平成11年10月6日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1999年9月の地震活動について


1 主な地震活動

9月21日に我が国近隣の台湾でマグニチュード(M)7.7(米国地質調査所(USGS)による。)の地震が発生し、沖縄県の南西部で震度2を観測した。このほかは、特に目立った活動はなく、全般に静穏であった。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

7月以降特に目立った活動はなかった。

(2) 東北地方

9月13日に青森県三八上北地方の深さ約15kmでM4.0の地震が発生した。

(3) 関東・中部地方

○ 9月13日に千葉県北西部の深さ約80kmでM5.0の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧縮軸を持つ逆断層型であった。発震機構と震源の深さとから、この地震は沈み込む太平洋プレート上面付近で発生したと考えられる。

○ 東海地方のGPS観測の結果には特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

今月は特に目立った活動はなかった。なお、前月(8月)に震度5弱を観測した和歌山県北部のM5.4の地震の余震活動として顕著なものは観測されていない。

(5) 九州・沖縄地方

前月(8月)に引き続き特に目立った活動はなかった。


3 その他

9月21日に我が国近隣の台湾でM7.7(USGS)の地震が発生し、沖縄県の南西部で震度2を観測した。また、沖縄県の南西部では、一部の大きな余震により震度1が観測されている。この地震の発震機構は、東西方向に圧縮軸を持つ逆断層型であり、波形解析で長さ約80km幅約40kmの震源断層が平均約2mずれたと推定されている。なお、この地震後の複数の現地踏査の報告によると、南北方向に長さ約50km以上にわたる地表地震断層が出現し東側が隆起した。

 台湾付近は、台湾の大部分が乗っているユーラシアプレートと、北西方向に進むフィリピン海プレートとが相互に押し合っている地域である。今回の地震は、西南日本に発生する地震に係わりが深いフィリピン海プレートとユーラシアプレートとの境界域に存在する活断層で発生したものであるが、西南日本の地震活動に対する影響は極めて小さいと考える。また、今回の地震の発生の前後で沖縄地方の地震活動に顕著な変化は認められていない。

補足

 10月3日に岩手県沖の深さ約10kmでM5.6の地震が発生した。