平成11年4月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1999年3月の地震活動について


1 主な地震活動

○ 新島・神津島近海で、3月14日にマグニチュード(M)4.7、3月28日にM5.0の地震が発生し、ともに一時地震活動が活発化した。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 特に目立った活動はなかった。

(2) 東北地方

○ 3月8日に秋田県沿岸南部の深さ約20kmでM4.2の地震が発生した。この地震は2月26日に発生したM5.1の余震域内で発生し、その余震と考えられる。2月26日の地震の余震の活動は低調で、ほぼ終息した。

○ 3月11日に岩手県沿岸北部の深さ約30kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は南北方向に圧縮軸を持つ逆断層型で、過去(1996年6月5日)にこの地震の南西約30kmに同様の発震機構のM4.1の地震が発生している。

○ 3月19日に青森県東方沖M5.7の地震が、プレート境界で発生した。

(3) 関東・中部地方

○ 3月2日に関東東方沖でM6.2の地震が発生した。2月20日にはM5.8とM5.7の地震が発生している。

○ 新島・神津島近海(神津島の北西部)で3月14日にM4.7の地震が発生し、一時的に地震活動が活発化したが、活動は1日程度で終息した。発震機構は概ね東西方向の張力軸を持つものであった。神津島の北西部のGPS観測点で、西向きの地殻変動を観測した。ほぼ同じ地域では2月14日と3月28日(最大M5.0)にも同様な地震活動があった。

  この地域では1991年頃から地震活動が活発化している。潮位観測結果によると1990年前後から神津島は隆起しており、最近のGPS観測結果からは神津島が膨張隆起していることがわかっている。

○ 3月26日に茨城県北部の深さ約60kmでM4.9の地震が発生し、被害を伴った。太平洋プレートの沈み込みに伴う低角逆断層型の地震であり、プレート境界で発生したものであった。

○ 三重県中部で1月下旬から始まった地震活動については、3月中旬頃から、地震の発生数が少なめに推移している。

○ 東海地方のGPS観測の結果には特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 3月16日に滋賀県北部の深さ約10kmでM4.9の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧縮軸を持つ逆断層型であった。なお、震源近くの観測点で地震前の地下水位及び歪の観測結果に変化がみられた。

(5) 九州・沖縄地方

○ 3月9日に熊本県阿蘇地方の深さ約10kmでM4.5の地震が発生し、被害を伴った。地震の直後は、地震活動は活発であったが、その後は低調になっている。

○ 3月24日に奄美大島近海でM6.0の地震が発生した。

3 補足

○ 4月3日に鹿児島県薩摩地方の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。

○ 4月8日にウラジオストク付近(ロシア)の深さ約600kmでM7.2の地震(深発地震)が発生した。