平成26年3月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以降の地震活動の評価

○ 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(以下、東北地方太平洋沖地震、Mw9.0)の余震は、岩手県沖から千葉県東方沖にかけての領域におよぶ広い範囲(以下、余震域)で発生している。 (Mw:モーメントマグニチュード)

○ 余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月〜2014年2月)では10分の1以下にまで減少してきているものの、東北地方太平洋沖地震前の平均的な地震活動状況と比べると3倍以上であり、依然として活発な状況にある。【資料1参照】

○ この1年間の余震活動を領域に分けてみると、沖合よりも沿岸部での活動が比較的高い。また、東北地方太平洋沖地震以降、活動が活発となった福島県浜通りから茨城県北部にかけての領域では、徐々に低下しつつあるものの活動は継続している。

○ 2004年に発生したスマトラ北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生している。【資料2参照】

○ GNSS連続観測によると、東北地方から関東・中部地方の広い範囲で余効変動と考えられる地殻変動が引き続き観測されている。地殻変動量は、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間で、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であったものから、最近1ヶ月あたりでは水平方向に最大1cm程度、上下方向には1cm 前後と小さくなっている。【資料3参照】

○ 以上のことから、余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあると見てとれるものの、依然として東北地方太平洋沖地震前の地震活動より活発な状況にあることや、他の巨大地震における事例から総合的に判断すると、今後も長期間にわたって余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。

○ なお、東北地方太平洋沖地震以降、東北地方から関東・中部地方にかけての余震域以外で活発化した地震活動は、全体として低下している。