4月2日、3日のチリ北部沿岸の地震 過去の地震活動



(2)過去の地震活動
チリ沿岸ではナスカプレートが南米プレートの下に沈み込んでおり、M8.0以上の地震が繰り返し発生している場所である。過去には、チリ沿岸付近で発生した地震により、日本で津波による被害が生じている。
1868 年1月以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺(領域c)では、1868年8月14日にM8.5、1877年5月10日にM8.3の地震が発生した。これらの地震により発生した津波は、共に太平洋沿岸全域に及んでいる。日本沿岸でも前者の地震により北海道の函館で2m*1、後者の地震により岩手県の釜石で3m*1の津波を観測している(津波の高さは、遡上高と思われる)。
また、領域cの南端では、1960年にチリ地震(Mw9.5)が発生した。この地震の際に発生した津波により、日本で死者、行方不明者142人など大きな被害が生じた。

※本資料中、今回の地震の発震機構とMwは気象庁による。1868年〜1922年は宇津「世界被害地震の表」からM8.0以上の地震を追加した。1900 年〜1962 年の震源要素は国際地震センター(ISC)による。その他の震源要素は米国地質調査所(USGS)による。プレート境界の位置と進行方向はBird(2003)*2より引用。

*1: 日本被害津波総覧による。
*2: Bird, P. (2003) An updated digital model of plate boundaries, Geochemistry Geophysics Geosystems, 4(3), 1027, doi:10.1029/2001GC000252.


気象庁
平成26年5月13日第263回地震調査委員会資料 『2014年4月の地震活動の評価』