平成22年6月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2010年5月の地震活動の評価

1.主な地震活動

目立った活動はなかった。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

目立った活動はなかった。

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(2)東北地方

目立った活動はなかった。

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(3)関東・中部地方

○ 5月1日に新潟県中越地方の深さ約10kmでマグニチュード(M)4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 5月3日に鳥島近海でM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。

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(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。

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(5)九州・沖縄地方

○ 5月13日に国東半島付近〔伊予灘〕の深さ約90kmでM4.7の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東−南南西方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 5月26日に南大東島近海でM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ正断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

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補足

○ 6月5日に北海道東方沖でM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。


注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。




2010年5月の地震活動の評価についての補足説明

平成22年6月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2010年5月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ67回(4月は85回)および6回(4月は6回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回で、2010年は5月までに9回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2009年5月以降2010年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 駿河湾 2009年8月11日M6.5(深さ約25km)
− 八丈島東方沖 2009年8月13日M6.6
− 石垣島近海 2009年8月17日M6.7,M6.6
− 伊豆半島東方沖  2009年12月17日M5.0、18日M5.1などの地震活動
− 石垣島近海  2010年2月7日M6.5
− 沖縄本島近海  2010年2月27日M7.2
− チリ中部沿岸  2010年2月27日Mw8.8
− 福島県沖  2010年3月14日M6.7

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「5月1日に新潟県中越地方の深さ約10kmでM4.9の地震が発生した。(以下、略)」:
 今回の地震は、平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震域から北東方向に約20km離れた場所で発生した。

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、6月1日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成22年6月1日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。その他の領域では概ね平常レベルです。
 なお、愛知県から長野県南部のプレート境界付近で4月20日から5月4日にかけて、深部低周波地震が観測されました。この付近でまとまった規模の深部低周波地震の活動は2008年9月以来です。

2.地殻変動の状況
 全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
 なお、上記の深部低周波地震活動と同期して、プレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因するとみられる地殻変動が4月23日から27日にかけて、周辺の歪計で観測されました。「短期的ゆっくり滑り」に起因する地殻変動が観測されたのは、本年3月以来です。」

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(4)近畿・中国・四国地方

−豊後水道周辺で2009年秋頃から見られている非定常的な地殻変動は、引き続き観測されている。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。

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(5)九州・沖縄地方

−奄美大島北西沖で5月16日頃からM5.0を最大とするやや活発な地震活動が発生したが、徐々に収まってきている。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。