増毛山地東縁断層帯・沼田−砂川付近の断層帯の
新たな調査研究に基づく審議の結果について

平成20年3月25日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

 地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について −地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年4月23日)を決定し、この中において、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を当面推進すべき地震調査研究の主要な課題とし、また「陸域の浅い地震、あるいは、海溝型地震の発生可能性の長期的な確率評価を行う」とした。

 地震調査委員会では、この決定を踏まえつつ、平成17年4月までに陸域の活断層として、主要98断層帯の長期評価を行い公表した。増毛山地東縁断層帯・沼田−砂川付近の断層帯については、平成15年7月14日に評価を公表している。

 その後、地震調査研究推進本部は、「今後の重点的調査観測について(−活断層で発生する地震及び海溝型地震を対象とした重点的調査観測、活断層の今後の基盤的調査観測の進め方−)」(平成17年8月30日)の中で、基盤的調査観測としての活断層調査の追加的または補完的な調査の必要性、候補となる断層の考え方を示した。
 沼田−砂川付近の断層帯は補完調査の候補となる断層の一つとして示されている。

 このことから、平成18年度に文部科学省からの委託で、産業技術総合研究所による補完調査が実施された。地震調査委員会では、この調査結果に基づいて標記断層帯の評価について審議したが、これまでの長期評価を見直すべき新たな知見は得られていないと判断し、評価の改訂は行わないこととした。

 なお、審議の結果については新たに追補としてとりまとめた。



平成20年3月25日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

増毛山地東縁断層帯・沼田−砂川付近の断層帯の評価(追補)

(説明)

・沼田−砂川付近の断層帯の位置および形態について

 産業技術総合研究所(2007)は、沼田−砂川付近の断層帯の活動性を確認するため地形・地質調査を実施したが、妹背牛(もせうし)地域、江部乙(えべおつ)地域で池田ほか編(2002)が図示した箇所には断層変位は認められず、秩父別(ちっぷべつ)地域、滝川地域以南においても活断層の存在を支持する資料は得られなかった。また、江部乙地域で実施した反射法弾性波探査(図1)では、池田ほか編(2002)が図示した撓曲崖の直下に断層変位は認められなかった。このことから、産業技術総合研究所(2007)は、活断層の存在が確実なのは北部の沼田地域だけである、としている。
 しかしながら、江部乙地域での反射法弾性波探査断面には、ゆるやかな西傾斜の構造が認められる。このため、反射法弾性波探査断面の範囲には断層が存在しないものの、より深部に断層が伏在し、幅の広い領域で変形をもたらしている可能性を否定できない。したがって、この地域における活断層の存在を議論するためにはより幅の広い領域の調査が必要であり、今回の調査結果からは沼田地域を除く地域において活断層の存在を議論することはできないと判断した。


文 献

北海道(1998):「平成9年度 地震関係基礎調査交付金 増毛山地東縁断層帯及び函館平野西縁断層帯に関する調査 成果報告書」.60p.

池田安隆・今泉俊文・東郷正美・平川一臣・宮内崇裕・佐藤比呂志編(2002):「第四紀逆断層アトラス」.東京大学出版会,254p.

地震調査研究推進本部地震調査委員会(2003):「増毛山地東縁断層帯・沼田−砂川付近の断層帯の評価」.21p.

産業技術総合研究所(2007):増毛山地東縁断層帯・沼田−砂川付近の断層帯の活動性および活動履歴調査「基盤的調査観測対象断層帯の追加・補完調査」成果報告書.No.H18−2,15p.