平成19年3月26日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

平成19年(2007年)能登半島地震の評価


○ 3月25日9時42分頃に能登半島西岸付近の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.9(暫定)の地震が発生した。この地震により石川県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。また、珠洲市長橋、金沢で0.2mなど、北陸地方で微弱な津波を観測した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、地殻内の浅い地震である。地震活動は本震−余震型で推移している。3月26日10時までの最大の余震は25日18時11分頃および26日7時16分頃に発生したM5.3(暫定)の地震で、それぞれ余震域の北東端、南西端で発生した。

○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、志賀町(しかまち)富来(とぎ)観測点(石川県羽咋郡)が約25cm南西に移動するなど能登半島を中心に地殻変動が観測された。

○ 余震分布や本震の発震機構から推定される震源断層は、北東―南西走向、南東傾斜で横ずれ成分を持つ逆断層で、GPS観測結果や地震波形データから推定される断層モデルも、これとほぼ整合している。

○ 今回の地震の北東側では1729年の地震(M6.6〜7)、1993年のM6.6の地震が発生しているが、能登半島およびその周辺で1600年以降、M7を超える地震は知られていない。

○ 能登半島西方沖には、北東―南西方向に延びる長さ約20kmの南東傾斜の逆断層が確認されており、その一部が今回の地震に関連した可能性もある。また、余震域の南東側には邑知潟(おうちがた)断層帯が存在しているが、今回の地震は邑知潟断層帯にほとんど影響を与えていないと考えられる。

○ 今後一週間程度は余震により、震度5弱以上の揺れが発生する恐れがある。3月26日10時から3日以内にM5.0(ところによって震度5弱程度が観測される)以上の余震が発生する確率は約70%と推定される。

*:今回の地震に対し、気象庁は「平成19年(2007年)能登半島地震」と命名した。