平成19年7月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2007年6月の地震活動の評価


1.主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 6月23日に日高支庁西部の深さ約130kmでM4.9の地震が発生した。発震機構は南北方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(2)東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 6月23日に茨城県沖の深さ約55kmでM4.2の地震が発生した。

○ 6月2日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 6月1日に埼玉県北部の深さ約60kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は北北西―南南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 6月28日に東京都多摩西部の深さ約15kmでM4.1の地震が発生した。発震機構は北東―南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 6月1日に静岡県西部の深さ約15kmでM4.3の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 3月25日の能登半島地震(平成19年(2007年)能登半島地震)の余震活動は、6月11日には本震の近傍でM5.0の地震が発生したが、全体としては減衰している。

○ 6月22日に石川県西方沖の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。この地震は能登半島地震の余震域から南方に離れた場所で発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 6月6日から大分県中部でM4.9を最大とする、まとまった地震活動があった。最大の地震(M4.9)の発震機構は南北方向に張力軸を持ち、横ずれ成分を含む正断層型で、地殻内で発生した地震である。地震活動は当初活発であったが、現在は減衰してきている。 補足説明へ

補足

○ 7月1日に根室支庁北部の深さ約130kmでM5.8の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 7月3日に茨城・千葉県境付近〔茨城県南部〕の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。


2007年6月の地震活動の評価についての補足説明

平成19年7月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2007年6月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ81回(5月は81回)および11回(5月は11回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は0回で、2007年は6月までに7回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値)

2006年6月以降2007年5月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 大分県中部 2006年6月12日M6.2(深さ約150km)
− 千島列島東方 2006年11月15日M7.9
− 千島列島東方 2007年1月13日M8.2
− 能登半島地震 2007年3月25日M6.9(深さ約10km)
− 三重県中部 2007年4月15日M5.4(深さ約15km)
− 宮古島北西沖 2007年4月20日M6.3,M6.7,M6.1などの地震活動

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「6月28日に東京都多摩西部の深さ約15kmでM4.1の地震が発生した。発震機構は北東―南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。」:
 今回の震源付近では、5月6日頃から12日にかけて、5月9日のM3.8を最大とする小規模な地震活動が発生している。

「3月25日の能登半島地震(平成19年(2007年)能登半島地震)の余震活動は、6月11日には本震の近傍でM5.0の地震が発生したが、全体としては減衰している。」:
 水準測量の結果から、志賀町から輪島市にかけて最大で約40cmの隆起が観測された。これは地質学的な現地調査や干渉SARの解析結果と調和的である。

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、6月25日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成19年6月25日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。
 なお、6月15日から17日にかけて長野県南部直下プレート境界の短期的ゆっくり滑りに起因すると見られる低周波地震活動と地殻変動が観測されました。この付近では同様の現象が昨年8月〜9月にも観測されています。」

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

「6月6日から大分県中部でM4.9を最大とする、まとまった地震活動があった。最大の地震(M4.9)の発震機構は南北方向に張力軸を持ち、横ずれ成分を含む正断層型で、地殻内で発生した地震である。地震活動は当初活発であったが、現在は減衰してきている。」
 今回の地震の周辺では、2000年4月にもM4.2を最大とする、まとまった地震活動が発生しており、その他にも同様な活動が度々発生している。また周辺には別府―万年山(はねやま)断層帯が存在している。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。