「全国を概観した地震動予測地図」 2007年版

<戻る 次へ>




1.2.3 西日本地域の特徴

 この地域では、南海トラフの地震(東海〜東南海〜南海地震)の影響が大きく、紀伊半島および四国のほぼ全域で確率が高いと評価されています。また、本州の瀬戸内海沿岸の一部、大分県および宮崎県の太平洋岸、熊本県の沿岸の一部地域でも確率が高い地域が見られます。南西諸島にも確率の高い地域が見られます。内陸部では琵琶湖周辺でも確率が高くなっています。

図1.2−8 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(西日本地域、平均ケース)
図1.2−8 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率
(西日本地域、平均ケース)

○印は都道府県庁を示す。
※図をクリックすると大きな図を見ることができます。

図1.2−9 西日本地域の主要活断層帯の位置と海溝型地震の領域
図1.2−9 西日本地域の主要活断層帯の位置と海溝型地震の領域

赤線:主要活断層帯の断層モデル上端位置
青線:海溝型地震の領域
○印は都道府県庁
※図をクリックすると大きな図を見ることができます。

津市(三重県):高い。三重県および近畿地方では、最も影響度が高いのは南海トラフの地震です。

大津市(滋賀県)、京都市(京都府)、大阪市(大阪府)、神戸市(兵庫県)、奈良市(奈良県):高い。南海トラフの地震の影響度が最も高くなっていますが、主要活断層帯の固有地震の影響度も高くなっています。近畿地方には琵琶湖西岸断層帯、上町断層帯、奈良盆地東縁断層帯、山崎断層帯等、地震発生確率の高い活断層が多く、それらの影響が出ていると考えられます。

和歌山市(和歌山県):高い。南海トラフの地震の影響度が支配的です。

鳥取市(鳥取県)、松江市(島根県):やや高い。相対的に最も影響度が高いのは、活断層が特定されていない場所で発生する地震です。また、松江市では主要活断層帯以外の地震も相対的に影響度が高くなっています。

山口市(山口県):やや高い。沈み込むフィリピン海プレート内の地震と活断層が特定されていない場所で発生する地震の影響度が相対的に高くなっています。

図1.2−10 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(近畿地方)

図1.2−10 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(山陰地方)
図1.2−10 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(近畿・山陰地方)

 市名の下に記載している確率値は、各々の市役所周辺における、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示します。
 ※図をクリックすると大きな図を見ることができます。

岡山市(岡山県):高い。南海トラフの地震の影響度が高くなっています。

広島市(広島県):高い。海溝型地震の安芸灘〜伊予灘〜豊後水道のプレート内地震の発生領域に近いため、その影響度が高くなっています。次いで南海トラフの地震の影響度が高くなっています。

高知市(高知県)、松山市(愛媛県)、高松市(香川県)、徳島市(徳島県):高い。南海トラフの地震の震源域に近いため、その影響度が非常に高く支配的です。また、松山市については、安芸灘〜伊予灘〜豊後水道のプレート内地震の発生領域に近いことから、その影響も高くなっています。

図1.2−11 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(山陽・四国地方)

図1.2−11 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(九州・沖縄地方)
図1.2−11 今後30年以内に震度6弱以上の揺れをもたらす可能性のある地震の影響度(山陽・四国・九州・沖縄地方)

※図をクリックすると大きな図を見ることができます。

福岡市(福岡県)、佐賀市(佐賀県):やや高い。最も影響度が高いのは活断層が特定されていない場所で発生する地震です。福岡市については、主要活断層帯およびそれ以外の活断層の地震の影響度も比較的高いことが分かります。

長崎市(長崎県):やや高い。最も影響度が高いのは、活断層が特定されていない場所で発生する地震です。次いで主要活断層帯の固有地震の影響度が高く、これは雲仙断層群の地震によるものと考えられます。また、沈み込むフィリピン海プレート内の地震の影響も同程度となっています。

熊本市(熊本県):やや高い。活断層が特定されていない場所で発生する地震の影響度が最も高く、次いで沈み込むフィリピン海プレート内の地震の影響度が高くなっています。影響度の高い主要活断層帯の固有地震としては、布田川・日奈久断層帯があります。

大分市(大分県):高い。最も影響が高いのは南海トラフの地震です。安芸灘〜伊予灘〜豊後水道のプレート内地震や沈み込むフィリピン海プレート内の地震も影響度もやや高くなっています。また、主要活断層帯の固有地震の影響度も見られ、これは近傍にある別府−万年山断層帯の影響であると考えられます。

宮崎市(宮崎県):高い。最も影響度が高いのは沈み込むフィリピン海プレート内部の地震であり、日向灘のプレート間地震およびひとまわり小さいプレート間地震がこれに次いでいます。南海トラフの地震の影響度はこれらの地震に比較すると低くなっています。

鹿児島市(鹿児島県):高い。南西諸島周辺の浅発地震の影響度が最も高くなっています。次いで、沈み込むフィリピン海プレート内の地震、活断層が特定されていない場所で発生する地震の影響度が高くなっています。

那覇市(沖縄県):高い。沈み込むフィリピン海プレート内の地震と南西諸島周辺の浅発地震の影響度が高くなっています。


<戻る このページの先頭へ 次へ>

地震調査研究推進本部 地震調査委員会