平成18年3月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


標津断層帯の新たな調査研究に基づく審議の結果について


地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年4月23日)を決定し、この中において、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を当面推進すべき地震調査研究の主要な課題とし、また「陸域の浅い地震、あるいは、海溝型地震の発生可能性の長期的な確率評価を行う」とした。

地震調査委員会では、この決定を踏まえつつ、これまでに陸域の活断層として、98断層帯の長期評価を行い公表した。

標津(しべつ)断層帯の評価は平成17年4月13日に公表しているが、その後、北海道によって実施された平成16年度地震関係基礎調査交付金に基づく調査結果が明らかになった。

地震調査委員会ではこの調査結果について審議したが、これまでの長期評価を見直すべき新たな知見は得られていないと判断し、評価の改訂は行わないこととした。

なお、審議の結果については新たに追補としてとりまとめた。


平成18年3月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

標津断層帯の評価(追補)


(説明)


・標津断層帯の位置および形態(標津断層帯を構成する断層)について

北海道(2005)は、開陽断層、荒川−パウシベツ川間の断層について空中写真判読を実施し、これまでの調査結果で活断層とされているものは異なる時代に形成された地形面境界の段差であると推定した。また、地表地質調査、ボーリング調査およびピット調査を実施したが、活断層の存在を示す証拠を見出すことはできなかった。これらの調査結果から、北海道(2005)は、これらの断層については「一部で多少の可能性があるが、総体としては活断層ではない可能性が高い」としている。
しかしながら、北海道(2005)では地形面境界の段差とする明確な証拠が示されていない。一方、中田・今泉編(2002)では地形面の撓曲や逆傾斜が示されていること、また、北海道(2004)では鮮新世の地層の幅1km程度にわたる急な傾斜が示されていることなど、これまでの調査結果から変形帯の幅が広い撓曲構造の存在が示唆されている。このため、活断層ではないと判断するにはこの撓曲構造を完全に横断する調査を行う必要があるが、北海道(2005)の調査はその一部にとどまっている。したがって、この調査結果からは活断層の有無を議論することはできない。

・活動時期(地形・地質的に認められた過去の活動)について

北海道(2005)は、丸山西方の断層について地表地質調査を行い、高位及び中位面の傾動と堆積物の傾斜を確認したが、過去の活動に直結する観察結果は得られていない。北海道(2005)はこのほか、古多糠(こたぬか)断層、開陽断層、荒川−パウシベツ川間の断層についても地表地質調査、浅層反射法地震探査、簡易地形測量、ボーリング調査およびピット調査を行ったが、活動履歴に関わる新たなデータは得られていない。


北海道(2005):「平成16年度 地震関係基礎調査交付金 標津断層帯及び富良野断層帯に関する調査 成果報告書」.1−189,1−81.
中田 高・今泉俊文編(2002):「活断層詳細デジタルマップ」.東京大学出版会,DVD−ROM 2枚・付図1葉・60p.
北海道(2004):「平成15年度 地震関係基礎調査交付金 十勝平野断層帯、富良野断層帯及び標津断層帯に関する調査 成果報告書」.1−181,1−109,1−183.