平成18年4月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2006年3月の地震活動の評価


1 主な地震活動

3月27日に日向灘の深さ約35kmでマグニチュード(M)5.5の地震が発生し、大分県で最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 3月25日に日高支庁東部の深さ約50kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 3月12日に岩手県沖の深さ約35kmでM5.0の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 3月13日に茨城県南部の深さ約55kmでM4.1の地震が発生した。

○ 3月28日に東海道沖の深さ約440kmでM6.0の深発地震が発生した。発震機構は圧力軸がプレートの沈み込む方向とほぼ一致しており、太平洋プレート内部の地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 3月2日に和歌山県北部の深さ約5kmでM4.1の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 3月27日に日向灘の深さ約35kmでM5.5の地震が発生し、大分県で最大震度5弱を観測した。発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、余震活動はほぼ収まりつつある。周辺のGPS観測結果には、この地震の前後で、特に変化は認められない。 補足説明へ

補足

○ 4月1日に台湾付近でM6.4の地震が発生した。

○ 4月2日に茨城県南部の深さ約60kmでM4.3の地震が発生した。

○ 4月10日に根室支庁北部の深さ約120kmでM5.1の地震が発生した。

○ 4月11日に房総半島南東沖の深さ約65kmでM5.0(暫定)の地震が発生した。



2006年3月の地震活動の評価についての補足説明

平成18年4月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

 2006年3月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ76回(2月は74回)および10回(2月は8回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2006年は3月までに3回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2005年3月以降2006年2月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0 (深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1 (深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月 3日M4.8 (深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0 (深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0 (深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2 (深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0 (深さ約15km)
− 茨城県沖 2005年10月19日M6.3 (深さ約50km)
− 三陸沖 2005年11月15日M7.2

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(2) 東北地方

−3月19日に宮城県沖の深さ約65kmでM4.1の地震が発生した。また、24日にほぼ同じ場所でM4.0の地震が発生した。

本文へ

(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。最近は、この長期的な変化は、停滞しているように見える。
(なお、これは、3月27日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成18年3月27日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺における、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。 」

関東・中部地方では他に次の地震活動があった。

−3月13日に茨城県沖でM5.1の地震が2回発生した。

−2月19日頃から始まった伊豆半島東方沖の小規模な地震活動は、3月に入っても低調ながら継続していたが、30日から再び活発化した。この主な活動域は2月の活動域の南東側で、その後の活動は次第に低下する傾向にある。これまでの最大は31日のM3.1の地震(最大震度1)である。今回の地震活動とともに、周辺のGPS、傾斜計、歪計等に地殻変動が観測された。

本文へ

(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

本文へ

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。