平成17年1月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2004年12月の地震活動の評価


1 主な地震活動

○ 12月14日に留萌支庁南部の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.1の地震が発生した。この地震により最大震度5強を観測し、被害が発生した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 11月29日に釧路沖で発生した地震(M7.1)の余震活動は、順調に減衰している。これまでの最大の余震は12月6日のM6.9(最大震度5強)である。また22日には余震域の東端でM5.7の余震が発生した。GPS観測結果によると、今回の活動に伴い北海道東部でわずかな余効変動が観測された。
○ 12月14日に留萌支庁南部の深さ約10qでM6.1の地震が発生し、北海道で最大震度5強を観測した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内の浅い地震と考えられる。地震活動は本震−余震型で推移し、順調に減衰している。GPS観測結果によると、今回の地震に伴い小平観測点[北海道留萌郡小平町(るもいぐんおびらちょう)]が北西へ約5cm移動し、約3cm隆起するなど震央付近で地殻変動が観測された。これらの観測結果は、本震の発震機構と調和的である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 12月1日に宮城県北部の深さ約75kmでM4.2の地震が発生した。また、12月30日にはM5.0の地震が発生した。発震機構は、いずれも太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震と考えられる。
○ 12月29日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.5の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 10月23日の新潟県中越地震(平成16年(2004年)新潟県中越地震)の余震活動は、引き続き減衰傾向にある。12月中の最大の余震は12月28日のM5.0の地震(最大震度5弱)で、本震の東側の余震域内で発生した。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 12月1日に京都府南部の深さ約15kmでM4.0の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 12月12日から鹿児島県西方沖の浅いところで地震活動が始まり、12月12日にM5.1、14日にM5.3の地震が発生した。発震機構は概ね北西−南東方向に張力軸を持つ型である。15日以降、地震活動は次第に低下してきており、活動はほぼ収まりつつある。 補足説明へ


補足

○ 2005年1月1日に茨城県沖の深さ約90kmでM5.0の地震が発生した。
○ 2005年1月2日に長野県南部の深さ約5kmでM4.2の地震が発生した。
○ 2005年1月6日に青森県東方沖の深さ約60kmでM5.3の地震が発生した。
○ 2005年1月9日に愛知県西部の深さ約15kmでM4.7の地震が発生した。
○ 2005年1月9日に新潟県中越地方の深さ約10kmでM4.2の地震が発生した。




2004年12月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年1月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2004年12月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ103回(11月は126回)および11回(11月は27回)であった。また、M6.0以上の地震は2回で、2004年は12月までに21回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2003年12月以降2004年11月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

   −房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

−岩手県沖

2004年8月10日M5.8(深さ約50km)

−紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
−茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
−与那国島近海 2004年10月15日M6.6
−新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
−釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「12月14日に留萌支庁南部の深さ約10qでM6.1の地震が発生し、北海道で最大震度5強を観測した。…(略)…これらの観測結果は、本震の発震機構と調和的である。」:
これまでの最大の余震は14日のM4.8の地震で、本震の西側で発生した。

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(2) 東北地方

「12月1日に宮城県北部の深さ約75kmでM4.2の地震が発生した。また、12月30日にはM5.0の地震が発生した。発震機構は、いずれも太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震と考えられる。」:
これらの地震は、2003年5月26日に宮城県沖で発生した地震(M7.1)の余震と考えられる。

「12月29日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.5の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。」:
今回の地震は、宮城県沖地震の想定震源域内で発生した。なお、今回の地震の前後で、周囲の地震活動に特段の変化は見られない。

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(3) 関東・中部地方

−東海地域のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な地殻変動の傾向には、2003年9月5日の紀伊半島南東沖の地震の前後で顕著な変化は見られない。
(なお、これは、12月27日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成16年12月27日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震M7.4に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されましたが、主として、地震に伴うステップ状の変動と思われます。2001年の初め頃から続いている地殻変動の傾向に地震の前後で顕著な変化は見られません。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

−12月2日から8日にかけて、兵庫県北部(鳥取県との県境付近)の深さ約10kmでM3.4を最大とする地震活動があった。
−12月14日から兵庫県南西部の深さ約15kmで微小地震活動が始まり、消長を繰り返しながら活動は現在も継続している。これまでの最大の地震は14日のM3.2である。

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(5) 九州・沖縄地方

−12月26日から宮崎県南部平野部地方の深さ約10kmで小規模な地震活動が始まり、27日にかけて一時的に活発となったが、12月中にはほぼ収まった。最大の地震は26日のM3.8の地震(最大震度3)であった。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。