平成17年2月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年1月の地震活動の評価


1 主な地震活動

1月19日に房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)でマグニチュード(M)6.8の地震が発生し、伊豆諸島の三宅島、大島、八丈島等で高さ30cm以下の津波を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

1月18日に釧路沖の深さ約50kmでM6.4の地震が発生し、最大震度5強を観測した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、2004年11月29日に釧路沖で発生した地震(M7.1)の余震と考えられる。
1月31日に十勝沖の深さ約50kmでM5.4の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

1月6日に青森県東方沖の深さ約60kmでM5.3の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

2004年10月23日の新潟県中越地震(平成16年(2004年)新潟県中越地震)の余震活動は、引き続き減衰傾向にある。1月中の最大の余震は1月18日のM4.7の地震で、余震域の北部で発生した。なお、1月9日には本震の東側でM4.2の余震が発生している。
1月1日に茨城県沖の深さ約90kmでM5.0の地震が発生した。
1月2日に長野県南部の深さ約5kmでM4.2の地震が発生した。
1月9日に愛知県西部の深さ約15kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
1月19日に房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)でM6.8の地震が発生し、伊豆諸島の三宅島、大島、八丈島等で高さ30cm以下の津波を観測した。発震機構は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。これまでの最大の余震は、21日のM5.8の地震で、22日以降、余震活動は徐々に減衰している。この付近では2004年5月30日にもM6.7の地震が発生し、伊豆諸島で高さ10cm未満の津波を観測している。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

1月15日に熊本県熊本地方の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。 補足説明へ

補足

2月8日に茨城県南部の深さ約65kmでM4.8(暫定)の地震が発生した。


2005年1月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年2月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年1月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ100回(12月は103回)および15回(12月は11回)であった。また、M6.0以上の地震は2回であった。なお、上記の月回数のうち、房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)の周辺に発生したものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、29回、7回、および1回であった。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年1月以降2004年12月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

   −房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

−岩手県沖

2004年8月10日M5.8(深さ約50km)

−紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
−茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
−与那国島近海 2004年10月15日M6.6
−新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
−釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
−留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「1月18日に釧路沖の深さ約50kmでM6.4の地震が発生し、最大震度5強を観測した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、2004年11月29日に釧路沖で発生した地震(M7.1)の余震と考えられる。」:
釧路沖の地震(M7.1)の余震活動は、引き続き減衰している。1月18日の地震に伴い余震域の南西側で一時的な活動があったが、19日中に収まった。GPS観測結果によると、釧路沖の地震の発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。

「1月31日に十勝沖の深さ約50kmでM5.4の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。」:
今回の地震は平成15年(2003年)十勝沖地震の余震域内(本震と最大余震の間)で発生した。

北海道地方では他に次の活動があった。
−2004年12月14日に留萌支庁南部で発生した地震(M6.1)の余震活動は、引き続き順調に減衰している。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

−東海地域のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な地殻変動の傾向には、2003年9月5日の紀伊半島南東沖の地震の前後で顕著な変化は見られない。
(なお、これは、2月2日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年2月2日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震M7.4に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されましたが、主として、地震に伴うステップ状の変動と思われます。2001年の初め頃から続いている地殻変動の傾向に地震の前後で顕著な変化は見られません。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

−12月14日から兵庫県南西部で始まった微小地震活動は、1月13日にM2.9の地震とそれに伴う一時的な活動があったが、1月下旬以降ほぼ収まった。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。