平成17年4月13日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年3月の地震活動の評価


1 主な地震活動

3月20日に福岡県西方沖の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.0の地震が発生した。この地震により福岡県と佐賀県で最大震度6弱を観測し、死者1名と700名を超える負傷者などの被害が生じた。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

3月12日に釧路支庁中南部の深さ約60kmでM5.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
3月18日に北海道北西沖でM5.0の浅い地震が発生した。余震活動は3月中にほぼ収まった。 補足説明へ

(2) 東北地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

3月12日に九十九里浜沿岸付近の深さ約30kmでM4.0の地震が発生した。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

3月5日に宮崎県南部平野部地方の深さ約50kmでM4.4の地震が発生した。
(3月20日に発生した福岡県西方沖の地震およびその余震活動については別項を参照) 補足説明へ

(6) その他の地域

3月6日に台湾付近でM6.2の地震が発生した。

補足

4月3日に福島県会津地方の深さ約5kmでM4.5の地震が発生した。本震直後の余震活動は比較的活発であったが、現在はほぼ収まりつつある。
4月4日に福島県沖の深さ約45kmでM5.3の地震が発生した。
4月11日に千葉県北東部の深さ約50kmでM6.1の地震が発生し、茨城県と千葉県で最大震度5強を観測した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した地震と考えられる。地震活動は本震−余震型で推移し、次第に減衰している。
今回の活動域付近では定常的な地震活動が見られ、1923年8月以降、M6.0以上の地震が8回発生している。前回は2000年6月3日にM6.1の地震(最大震度5弱)が発生した。
4月11日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.4の地震が発生した。


2005年3月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年4月13日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年3月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ98回(2月は70回)および9回(2月は12回)であった。また、M6.0以上の地震は2回であった。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年3月以降2005年2月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

   − 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

− 岩手県沖

2004年8月10日M5.8(深さ約50km)

− 紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
− 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「3月12日に釧路支庁中南部の深さ約60kmでM5.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。」:
この地震は2004年11月29日の釧路沖の地震(M7.1)の余震で、余震域の北西端付近に発生した。なお、釧路沖の地震の余震活動は、引き続き減衰傾向である。GPS観測結果によると、釧路沖の地震の発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

−3月24日に岐阜県飛騨地方の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。
−1月19日に発生した房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)の地震(M6.8)の余震活動は3月中旬にはほぼ収まった。一方、この余震域の東側に隣接した関東東方沖では、房総半島南東沖の地震の後、M4程度を最大とする地震活動がみられていたが、3月中旬頃から4月上旬にかけて活動が活発化した(これまでの最大はM4.6)。
−東海地域のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な地殻変動の傾向には、2004年9月5日の紀伊半島南東沖の地震以降、これまでと異なった動きが見られており、この原因としては紀伊半島南東沖の地震の余効変動等の可能性が考えられる。
(なお、これは、3月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年3月28日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震M7.4に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されました。地震に伴うステップ状の変動を取り除いた結果には東西成分の動きにこれまでと異なったものが見えています。この原因としては、9月5日の紀伊半島南東沖の地震の余効変動等の可能性が考えられます。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。