平成16年11月29日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


釧路沖の地震活動の評価


○ 11月29日03時32分頃、釧路沖でマグニチュード(M)7.1(暫定値)の地震が発生し、釧路町、弟子屈(てしかが)町、別海町で震度5強を観測した。この地震により、根室市花咲で0.1mなど、北海道太平洋沿岸東部で微弱な津波を観測した。発震機構は、北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、プレート境界で発生した地震と考えられる。本日17時までに震度1以上の余震が11回発生しており、最大は03時36分頃のM6.0(最大震度4)である。

○ GPS観測の結果によると、今回の地震に伴い標茶(しべちゃ)観測点が南東へ約2cm、根室4観測点が北東へ約2cm移動するなど、北海道東部で地殻変動が観測された。これらの地殻変動は、今回の地震の発震機構と整合している。

○ 今回の震源の近くでは、1961年8月12日にM7.2の地震が発生している。この地震も今回の地震と同様にプレート境界で発生したと考えられている。

○ 今回の地震は、地震調査委員会が平成15年3月24日に公表(平成15年11月12日に一部変更)した、「千島海溝沿いの地震活動の長期評価」で評価した、「ひとまわり小さいプレート間地震」に相当すると考えられる。同評価では、十勝沖と根室沖を併せた領域では、1900年以降M7.0〜7.2のプレート間地震が約20年に1回の頻度で発生しており、今後30年以内の発生確率は80%程度、その規模はM7.1前後と推定している。