遠地実体波解析（暫定解）

ＥＩＣ地震学ノートＮｏ．１３９　　　Ｓｅｐ．２６，０３
東大震研情報センター

◆遠地実体波解析（暫定解）◆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
９月２６日釧路沖地震（Ｍｊ８．０）
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●概略・特徴：９月２６日午前４時５０分（日本時間）に、釧路沖でＭｊ８．０の地震が発生しました。北海道では震度６弱を記録しました。津波も観測されています。けが人も２９０名以上出ている模様です。気象庁による速報震源は次の通りです。

発生時刻　　　　　　　　　　　　　　震央　　　　　　　　　　　　　　　　深さ　　　　Ｍ
０３／０９／２６　０４：５０（ＪＴ）　４１．７８°Ｎ１４４．０７９°Ｅ　　４２ｋｍ　　８．０

●データ処理：ＩＲＩＳ−ＤＭＣから収集した広帯域地震計記録（Ｐ波上下動２１とＳＨ波４）を用いて解析しました。
●結果：破壊開始点として気象庁の震源を仮定して解析を行いました。その結果を図に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

　走向、傾斜、すべり角　＝（２１０，１７，９１）
　地震モーメント　　Ｍｏ＝９．６ｘ１０＊＊２０Ｎｍ（Ｍｗ＝７．９）
　破壊継続時間（主破壊）　Ｔ＝３０ｓ
　深さ　　　　　　　　　　Ｈ＝４０ｋｍ
　断層面積　　　Ｓ＝８０ｋｍｘ８０ｋｍ
　食い違い　　　Ｄｍａｘ＝３．６ｍ
　応力降下　　　Δσ＝４．７ＭＰａ

●解釈その他：北東−南西走向、北西傾斜面の低角逆断層です。千島海溝から沈み込む太平洋プレート上面で起こったプレート間地震と考えられます。ちょうどここでは１９５２年にＭｊ＝８．２の地震が起こっています。下図は今回の地震のアスペリティと１９５２年のアスペリティをコンターで示したものです。１９５２年の地震についてはデータが少ない上、記録が振り切れてしまっているため地震の全体像は波形解析からはわかりませんでしたが、どうも今回は１９５２年のアスペリティ（の１つという可能性もある）と同じところが動いたようです。
Ａｂｅによると、国内１０カ所の検潮所での津波最大振幅から津波マグニチュードはＭｔ＝８．０と求められており、地震の規模とほぼ同じである。「このことから今回は地震の規模に見合った津波が発生したといえる。１９５２年十勝沖地震による津波の規模はＭｔ＝８．２であり、今回のＭｔよりも大きかった。」ということである。