平成15年8月7日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


宮城県北部の地震活動の評価


○ 7月26日0時13分頃に宮城県北部の深さ約10kmでマグニチュード(M)5.5の地震(最大震度6弱)、また、同日7時13分頃にはM6.2の地震(最大震度6強)が発生した(第115回地震調査委員会評価文「2003年7月26日宮城県北部の地震の評価」参照)。

地震の発生の状況から、これまでの地震活動はM6.2の地震を本震とする前震−本震−余震型と考えられる。本震の発震機構は、東西方向に圧力軸をもつ逆断層型で、地殻内の浅い地震である。

8月7日17時までの最大の余震は、7月26日16時56分頃のM5.3の地震(最大震度6弱)で、余震域の北端付近で発生した。その他、26日10時22分頃のM4.8の地震と28日4時8分頃のM5.0の地震では、最大震度5弱を観測した。

○ GPS観測および水準測量の結果によれば、震源に近い矢本観測点〔宮城県桃生郡矢本町(ものうぐんやもとちょう)〕では、今回の地震(本震)に伴い南東方向に約15cm移動し、約10cm隆起したことが観測された。また、水準測量の結果からは、宮城県桃生郡鳴瀬町(なるせちょう)から矢本町にかけて最大で約15cmの隆起が見いだされた。本震の発震機構や余震活動の震源分布から推定される震源断層は、ほぼ南北走向、西傾斜の逆断層で、GPS観測結果および水準測量データから推定される断層モデルも、これとほぼ整合している。

○ 現在までの現地調査によると、今回の地震と関係した地表地震断層は認められていない。

○ 本震の震源過程の解析によると、大きなずれ破壊を起こした領域が断層面の浅いところにあったと推定されている。

○ 余震活動は順調に減衰しており、8月7日17時から3日以内にM4.5以上の余震が発生する確率は、約20%と推定される。M4.5程度の余震が発生した場合、大きいところでは震度5弱程度の揺れになると推定される。また、M2.7(ほぼ震度1以上を観測する規模に相当)以上の余震の発生数は8月末頃には1日あたり1.5回程度になると推定される。