平成14年4月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年3月の地震活動の評価


1 主な地震活動

3月26日に、石垣島南方沖の深さ約10kmで、マグニチュード(M)6.6の地震が発生し、沖縄県内の与那国島などで津波を観測した。3月31日に、台湾付近でM7.2(気象庁による)の地震が発生し、沖縄県内の与那国島などで最大震度3を観測し、津波を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 3月7日に、オホーツク海南部の深さ約480kmで、M6.0の深発地震が発生した。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 3月17日に、茨城県南部の深さ約50kmで、M4.1の地震が発生した。

○ 3月25日頃から新潟県中越地方の深さ約15kmで微小地震の活動があり、28日にはM4.1の地震が発生した。地震活動は、その後も続いている。

○ 3月28日に、神奈川県西部の深さ約15kmで、M4.0の地震が発生した。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き低調ながらも続いている。

○ 東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 3月6日に、島根県東部の深さ約15kmで、M4.5の地震が発生した。この地震は「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3)の余震である。

○ 3月11日に、徳島県北部の深さ約10kmで、M4.1の地震が発生した。

○ 和歌山・奈良県境の深さ約10kmでは、2001年5月下旬から微小地震の活動が続いており、1月に活発化した後、活動が低下していたが、3月28日にM3.7の地震が発生するなど、3月下旬に一時的に活発化した。3月の活動は、ほぼ1月の活動域内である。

○ 3月25日に伊予灘の深さ約50kmで、M4.7の地震が発生した。この地震はフィリピン海プレート内部の地震と考えられる。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 3月26日に、石垣島南方沖の深さ約10kmで、M6.6の地震が発生した。この地震により、沖縄県内で10cm未満の津波を観測した。発震機構は、北北西−南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。地震活動は、本震−余震型で推移しており、次第に低下してきている。周辺の過去の地震活動をみると、最近では、今回の震源の東南東約150km付近で、1998年5月4日にM7.6の地震が発生している。 補足説明へ


(6)その他の地域

○ 3月31日に、台湾付近で、M7.2の地震が発生し、沖縄県の与那国島などで、震度3を観測した。この地震で、沖縄県内で20cm未満の津波を観測した。発震機構は、北北西−南南東方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。この地震は、沈み込むフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界付近で発生した地震である。地震活動は、本震−余震型で推移しており、次第に低下してきている。



補足

○ 4月4日に、青森県東方沖の深さ約60kmで、M5.3の地震が発生した。

○ 4月6日に、愛媛県南予地方の深さ約40kmで、M4.5の地震が発生した。



2002年3月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年4月10日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は69回(2月は34回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は9回(2月は6回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年3月には3回観測され、2002年は3月までに4回観測されている。
2001年3月以降2002年2月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。


−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」


2001年3月24日M6.7(深さ約50km)

−静岡県中部2001年4月3日M5.1(深さ約35km)

−岩手県内陸南部2001年12月2日M6.4(深さ約120km)

−神奈川県西部2001年12月8日M4.5(深さ約25km)

−奄美大島2001年12月9日M5.8(深さ約40km)

−与那国島近海2001年12月18日M7.3(深さ約10km)

−茨城県沖2002年2月12日M5.5(深さ約50km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年3月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、3月25日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年3月25日気象庁地震火山部)
「 東海地域において、スラブ内の地震活動は、最近はやや少ない状態です。
 駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動についても、昨年は平常かやや多い状態で推移していましたが、本年に入り周辺地域も含め少なくなっています。
 また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば昨年から長期的な変化が認められ、現在でも依然として継続しているように見えます。現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

  他に次の活動があった。
   −2月末から3月中旬にかけて、栃木県北部で微小地震の活動。最大M3.5(3月10日)。

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。