平成13年1月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2000年12月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

12月22日に、択捉島付近の深さ約140kmで、マグニチュード(M)6.5のやや深発地震が発生した。発震機構は、太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型であった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 12月5日に、茨城県沖の深さ約40kmで、M5.3の地震が発生した。この地震は、太平洋プレートの沈み込みに伴って発生したものである。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての6月末からの地震活動は、12月6日に神津島の北側でM3.8の地震が発生するなど、神津島から三宅島間を中心に低調ながら続いている。また、地殻変動の変化も、ほぼ停止しているものの、完全な停止にまでは至っていない。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年の8月以来、低い活動レベルの状態が続いていたが、最近、回復傾向が見えてきている。一方、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3(暫定))の余震活動は、12月に入ってからも、7日にM4.2、19日に2回続けてM4.1の余震が余震域北部でそれぞれ発生したものの、徐々に低下してきている。また、余震域の西南西約25km付近と東北東約30km付近で発生していた、M7.3(暫定)の地震に誘発された地震活動も、徐々に低下してきている。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




4 補足

○ 2001年1月2日に、新潟県中越地方の深さ約10kmでM4.4の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は、北西−南東方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。また、1月4日にも、新潟県中越地方(2日の地震の震源から南南東に約40km離れた場所)の深さ約10kmでM5.1の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。その後の地震活動は、いずれの場所でも低調である。

最近3年間のGPS観測の結果では、この地域は西北西−東南東方向から東西方向の縮み傾向を示す地域であり、今回の二つの地震の発震機構はこの地域の特徴に整合している。

周辺のGPS観測による結果からは、特にこれらの地震に関連した地殻変動は見られていない。

1月2日と4日の地震は、地震の規模がM4クラス及びM5クラスであること及び震源が相互に約40km離れていることから、直接の関係はないと考えられる。

なお、新潟県中越地方付近では、最近10年間の活動を見ると、1990年12月に、今回の1月2日の地震の震源の南西5km付近を中心として、M5.4を最大とする被害を伴った地震活動があった。

○ 1月6日に、岐阜県美濃東部の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。

○ 1月9日に、伊予灘の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。



2000年12月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年1月10日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は43回(11月は44回、1999年末までの30年間の月平均は約40回。)観測された。この内M5.0以上の地震の発生は4回(11月は5回)であった。
また、M6.0を超える地震の発生は、1997〜1999年の間で、年に平均11回(台湾付近の地震を除くと8回)発生しているが、2000年は12月末までで23回(三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動を除くと18回)発生している。但し、以上の統計には、8月5日にサハリン中部に発生した地震は含めていない。
1999年12月以降2000年11月末までの主な地震活動として次のものがあった。

−北海道東方沖 2000年1月28日M6.8(深さ約60km)
−北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)
及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部 2000年6月3日M6.0(深さ約50km)
−石川県西方沖 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方 2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島神津島付近にかけての地域
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.4(深さ約10km)。
−茨城県沖 2000年7月21日M6.0(深さ約50km)
−鳥取県西部 2000年10月6日M7.3(暫定)(深さ約10km)
−西表島付近 2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「12月22日に、択捉島付近の深さ約140kmで、マグニチュード(M)6.5のやや深発地震が発生した。発震機構は、太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型であった。」
この地震は、沈み込む太平洋プレートの二重地震面の下面に発生したもの。この震源付近では1978年12月にM7.7の地震が発生している。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年の8月以来、低い活動レベルの状態が続いていたが、最近、回復傾向が見えてきている。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、時折それより前の平均(30日当り6回程度)を超えることがあったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、最近は30日当り9回及び10回となり、平均を超えた状態が続いた。

その他、次のような地震活動があった。
  −12月6日に、鳥島近海でM5.1の深発地震。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−兵庫県北部(鳥取県との県境付近)で、M3.1及びM3.0の地震を含むやや活発な微小地震の活動があった。

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(5) 九州・沖縄地方

−2000年6月から続いている熊本県熊本地方の地震活動は、低調となっている。
−2000年11月半ばからの西表島付近の地震活動は、12月以降も低調ながら続いている。

その他、次のような地震活動があった。
−12月13日に、台湾付近でM5.1の地震。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
  M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。