平成12年2月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2000年1月の地震活動について


1 主な地震活動

1月28日に北海道東方沖でマグニチュード(M)6.8の地震が発生し、被害を伴った。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

1月28日に北海道東方沖の深さ約60kmでM6.8の地震が発生した。震源は、1994年の「平成6年北海道東方沖地震」(M8.1)の余震域の南西端に接し、二重地震面の下面に当たる。また、発震機構は、概ね、西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型であり、1994年の地震のそれと同様であった。今回の地震の直後、当該地域で余震活動が活発であったが、徐々に低下している。 補足説明へ

(2) 東北地方

1月9日に福島県沖の深さ約50kmでM5.0の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 1月12日に茨城県北部の深さ約60kmでM4.4の地震が発生した。

○ 静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年8月以来静かな状態が続いている。また、東海地方のGPS観測の結果及び掛川−御前崎(浜岡)の水準測量の結果には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

1月17日に周防灘の深さ約15kmでM4.0の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

種子島近海の深さ約20kmで、1月中旬から下旬にかけて、地震が多発し、1月23日のM5.2を含めて地震の発生回数は190回に達した。 補足説明へ

3 補足

2月6日栃木県北部の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。


2000年1月の地震活動に関する
地震調査委員会評価結果の補足説明

平成12年2月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

「北海道東方沖でマグニチュード6.8」:
日本及びその周辺域でM6.0以上の地震が発生し、かつそれにより震度4以上を観測したのは、平成11年5月13日の釧路支庁中南部の深さ約100kmに発生したM6.4のやや深発地震以来である。
なお、日本及びその周辺域では、M4.0以上の地震の発生は44回(12月も44回)観測され、内M5.0以上の地震の発生は6回(12月は2回)で、M4.0以上の地震発生回数からみた今月の活動レベルは先月と同様であった。また、過去1年間には主な地震活動として次のものがあったが、これらの地震活動域及びその周辺域のうち、種子島近海及び瀬戸内海中部を除いて、1月に目立った活動は発生していない。
− 種子島近海    1999年1月24日M6.2、(約50km)
− 長野県中部    1999年1月28日M4.7、(約10km)
− 秋田県沿岸南部  1999年2月26日M5.1、(約20km)
− 新島・神津島近海 1999年3月14日M4.7(10km以浅)、
           1999年3月28日M5.0(20km以浅)
− 釧路支庁中南部  1999年5月13日M6.4やや深発地震、(約100km)
− 和歌山県北部  1999年8月21日M5.4、(約70km)
− 台湾      1999年9月21日M7.7(米国地質調査所による。)
− 瀬戸内海中部   1999年10月30日M4.5、(約15km)
− 熊本県熊本地方(約10km)、福井県沖(約15km)及び
  愛知県西部(約50km)で1999年11月にM4を超える地震。

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「概ね、西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型」:
当該発震機構は、1994年の地震のものに似ている。なお、1994年の地震は沈み込む太平洋プレートの内部で発生したもの(プレート内地震)である。また、今回の地震の南西側では、「1973年6月17日根室半島沖地震」(M7.4)が発生しており、津波と地震動による被害を伴った。1973年の地震は、沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートとの間で発生した(プレート間地震)ものである。
この地震の被害は軽傷者2名(自治省消防庁調べ、平成12年1月31日現在)。

この他、北海道地方では、1月6日にオホーツク海南部の深さ約400kmで、M5.0の深発地震が発生したが、この震源の北東100kmで1999年2月にもM5.9の地震(深さ430km)が発生するなど、当該震源付近は従来から地震活動が認められる場所である。

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(2) 東北地方

「福島県沖の深さ約50km」:
当該震源付近は、1998年8月にもM5.2の地震が発生するなど、地震活動が活発な場所である。

この他、東北地方では、1月は次のような地震活動があった。
− 三陸沖の海溝軸の東側では、1月中旬から地震活動が活発化し、19日にM4.0、21日にM4.1の地震が発生したが、1月中にはほぼ終息。当該活動域付近は、従来から地震活動がある場所である。
− 宮城県北部(秋田・宮城・山形県境付近)の深さ約10kmでは、1月10日にM4.2を含む18回の地震の発生があったが、1日で終息。当該活動域は、鬼首の地熱地帯であり、これまでにも微小地震がまとまって発生することがあった。

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(3) 関東・中部地方

「茨城県北部の深さ約60km」:
 当該震源付近は、沈み込む太平洋プレートの二重地震面の上面に当たり、従来から地震活動が活発な場所である。

「静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年8月以来静かな状態が続いている」:
1986年6月からの地震発生数の統計によると、静岡県中部の沈み込むフィリピン海プレート内のM1.5以上の地震の発生頻度が平均して1ヶ月に6回程度の発生であったもの
が、1999年8月頃から1ヶ月に2〜3回の状態となり、その状態が継続している。

「特段の変化は見られない」:
水準測量等の結果には、内陸側に対する御前崎側の沈下傾向が従来同様続いており、明瞭な変化は認められていない。

この他、関東・中部地方では、1月は長野県西部にM3.6の地震が発生し震度4を観測した。当該震源付近は、従来から微小地震が多発している場所である。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「周防灘の深さ約15km」:
周防灘では、今回の地震を含めても1926年以降M4.0を超える地震の発生は10回未満であり、地震の発生頻度は低調な領域である。1926年以降で最大のものは、1991年10月28日M6.0の地震である。この地域では、海底に活断層が多数認められている。

この他、近畿・中国・四国地方では、瀬戸内海中部で、微小地震の活動が12月と同様の発生頻度で継続している。

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(5) 九州・沖縄地方

「種子島近海の地震活動」:
種子島近海は、従来から比較的地震活動が活発な地域である。なお、当該活動域の北約50kmの深さ約50km(沈み込むフィリピン海プレートの内部)で、昨年1月24日にM6.2の地震が発生しているが、今回の活動と震源の深さが異なる。

この他、九州・沖縄地方では、1月は、次のような地震活動があった。
− 1月29日に東シナ海の深さ約160kmでM5.9のやや深発地震が発生した。当該震源付近は従来から地震活動が認められる場所である。

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